以下の取材調査の内容・考察は(有)ライプニッツに帰属します。 |
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以下、これまでの調査報告。内容を厳密にするために更新して行きます。 また、この問題は、環境放射能学や環境動態解析などの学識者に見解をお窺いしており、許可を頂ける場合にはこちらに掲載していきます。
福島県の東半分では、高線量のダストなどが至るところに吹き溜まりになっていて、舞い上がっている! 環境放射線モニタリング ポストの空間線量率の数値が急上昇(・急降下)する現象は原発事故の翌年には明らかに確認できる。ポストの数も今より遥かに少なかったが、1mSv/h 超えが続発していて、メーカーも考えられないと言う。ポストが増設されるに従って福島の実態が明らかになって来た。 福島第一原発の足元の双葉郡では広域で数値が上昇することがあるが、1・2号機の間のスタック[排気筒]の足元は最大25 Sv/h(2013/12)あって、地下の割れ目から蒸気が出続けていて、そこは除染も出来ていない。放出量は東京電力の言う 1,000 万 Bq/h どころではないが、この状況が関係していないのか? 下の「空間線量の異常値マップ」のデータ元である原子力規制庁 監視情報課(03-5114-2125)も、福島県のモニタリングの責任主体である災害対策本部 放射線監視室(024-521-8498)も、県内の危機管理に係る総合調整の危機管理課(024-521-8651)も、これほど危険な現実を承知しながら情報を部署内でかこい、「福島は安全・安心」の態度を続けている。 ※ 会津地方を含めたマップはこちら(0.89 MB)。 ※ 個々の異常値のデータについては別途提供。
<< 要 点 >> (1)福島県の内と外には大差ない台数の環境放射線モニタリング ポスト(原子力規制庁や各都道府県が運営・管理)が設置されている。その上で、福島県の浜通り地方と 2011/ 3/15 の放射性プルームの通り道(福一原発から北西へ、福島市辺りから南へ)辺りに集中して空間線量率の数値が飛び上がる現象が毎日のように起きている。福島県を除く全国の合計の約7倍(2014 年)も異常値が出ることは「機器の不具合」や「ノイズ」などでは説明がつかない。 ポストが増えた現在では、異常値は、福島県内のポストの数分の一のみを対象にしている全国サムネイルで確認できただけでも、県内の東半分のどこかで、数日に一度ある。つまり、毎日のように起きている。この全貌が全く明らかにされていない。
(2)このゾーンに集中して1mSv/h やそれ以上の数値が出ている。福島県以外で1mSv/h 以上が出たのは山形県との県境の米沢市での1件だけ。100 μSv/h 以上1mSv 未満の1例も同じモニタリング ポスト。原子力規制庁は「飛び抜けて大きい数値は(電気的)ノイズと思われる」と主張するが、なぜそれが福島県だけに起こるのか?
(3)2012・2013 年はポストの数が今より遥かに少なかったが、1mSv/h 超えが目立ち、且つ、総じて数値が高い。これらはモニタリング ポストの試用期間に起きたものではなく、そうした例はマップに取り上げていない。
これらの事実は至るところに吹き溜まりになっている高線量のダストや3機などの爆発で飛散したガレキの舞い上がり、或いは、今も続く福一原発からの核種の拡散などと異常値が無関係とは言い難いことを意味する。 ところが、規制庁では、毎回の異常値を記録・整理することさえしていない、と言う。 以下、具体的に説明する。 << 異常値の“形” >>
2014 年の1mSv/h 超えを幾つか書き出してみると、10〜20分以内でのスパイクの他、急上昇・急降下を繰り返す場合が多いほか、急上昇したあと不規則に変化する場合など、波形は様々。 原子力規制庁の監視情報課では上のような折れ線グラフにした場合、どういう波形なら原因は何と考えられるといった実証も分類もやっていない。それにも拘わらず、一様に「機器の不具合」と断定する。 ●6/29 大熊町の小入野地区公民館、13:10、174.723 μSv/h、13:20、677.308 μSv/h(通常 16.5 μSv/h) ●7/ 1 いわき市の市立勿来公民館、4:50、0.347 μSv/h、5:00、0.238 μSv/h、5:10、1.714 μSv/h、5:20、3.163 μSv/h、6:00、0.956 μSv/h、6:10、9.220 μSv/h、6:20、79.854 μSv/h、6:30、86.350 μSv/h、6:40、105.373 μSv/h、6:50、19.429 μSv/h(通常 0.08 μSv/h) ●7/ 3 二本松市の市立川崎幼稚園、13:20、1.008 μSv/h、13:30、1,068.907 μSv/h、13:40、230.575 μSv/h、14:00、11.147 μSv/h、14:10、2.228 μSv/h、14:20、699.528 μSv/h、14:30、17.471 μSv/h(通常 0.140 μSv/h) ●7/25 浪江町の津島集会所、3:10、6.196 μSv/h、3:20、9.909 μSv/h、3:30、17.546 μSv/h、3:40、9.349 μSv/h、5:00、3.444 μSv/h、6:10、6.093 μSv/h、6:50、6.106 μSv/h、7:20、10.896 μSv/h、7:40、7.814 μSv/h、7:50、15.628 μSv/h、8:00、29.548 μSv/h〜10:50、26.083 μSv/h、11:00、58.914 μSv/h、11:10、61.380 μSv/h、11:20、141.000 μSv/h、11:30、144.992 μSv/h(通常 1.65 μSv/h)
<< 復興計画や原発再稼働が吹き飛ぶので、規制庁は吸引被曝の現実を認めようとしない >> 原子力規制庁には監視情報課を中心に 2014/ 7 月末から取材を始めた。 福島県では災害対策本部の放射線監視室が環境放射線のモニタリングを担当。両者は日常的に異常値の情報を共有してはいるが、異常値があると、県は殆どのポストが規制庁の管理だからとして万事 規制庁の判断待ちで、地域住民へ知らせることを今まで一切して来ておらず、他方、規制庁は、観測データの集約はしているが、県が地元の対応に当たるのは当前ではないか、としており、普段の責任関係が曖昧。県庁内でも末端自治体との連絡関係は危機管理課(⊃ 放射線監視室)・原子力安全対策課の間で役割が決まっていない。 空間線量率に異常値があると、規制庁の監視情報課では、地元の役所に電話をしてポスト周辺の環境に何か変化があるかを確認すると共に、契約する事業者をそのポストに状況確認に行かせるが、周辺の地上1mの空間線量率を測らせ(当然 既に数値は下がっている)、毎回々々「〜 の測定値は機器不具合によるものです。現地ポスト周辺の線量に異常がないことは確認済みです」とか「通信の不具合」として片付けている。数値が数百 μSv/h にもなると「ノイズと思われる」として処理。あるいは、周囲で除染作業、機器を移動、機器を点検、のためとする(それぞれ元データなどに記載)。以前は様々な理由をこしらえて付けていたが、最近は「機器の不具合」ばかり。 この地上1m測定で示される数値は、いろいろ確認してみれば分かるが、相当 高線量のダストであっても、地面であれば面的な広さが、大気中であれば厚みがないとないと、1mも離れればバック グラウンドの数値に埋没する。規制庁は、この地上1m測定のみで、ポストの周辺の地表に落ちているも知れない放射性のダストやガレキの小片の存在を無視する。ポストの表面線量も測らない。不具合だとして回収した機器(センサーや検出器)も、故障の内容を確認したことがないと言う。 除染作業を理由にする場合には、電話確認でもって周辺で除染をやっているとなると、ああそれに違いない、とやっている様子が窺える。質しても、その判断の根拠を示さない。本当の原因は承知しているので、原因を追求はしない。常に、想像・断定で片付けている。 また、あるポストが再び異常値を示したり、数値が上昇したままだったりすると、鳥や小動物の影響を挙げたりして、不都合な問題は曖昧なままにする。何事も表沙汰にせず、放置。 規制庁の監視情報課は、異常値の原因が環境中の放射性物質だと認めたことは 2014/ 8 中旬に南相馬市小高地区で稲穂の汚染が問題になった時の一度だけ(ポスト不詳)。 規制庁の膨大な空間線量率の元データを調べると、3.11以来ずっとこのデタラメを続けている。 そして、2014 年の夏、県内で数値の急上昇が続発している事実がメディアで注目されると、規制庁は「暑さのために機器に不具合」と記者発表した。福島県は全国で最も暑いのか? 規制庁のデータでは異常値は季節に関係なく日常的に起きている。暑さ説は 365 日 全国の異常値を把握している監視情報課のその場しのぎのゴマカシ。メディアも記事や映像になりさえすれば満足して引き上げる。県内の新聞2紙、テレビ5局は、復興と風評被害は連呼するが、核汚染・被曝の話題は一切 扱わない(3ヵ月に一度の「県民健康調査」検討委員会の発表をニュースで取り上げるだけ)。 また、監視情報課は、この夏の時季、異常値が福一原発の近くで頻発している点については、雷の影響ではないか、とのコメントをメディアに撒いた。とにかく、線源の浮遊を否定することが始めにありき。 そこで、証拠を並べてこれらの言説を追及すると、彼らはソロソロとインチキ説を引っ込めた。 2015/ 4 上旬には、福島県が南相馬市・飯舘村・川俣町ほかに新設した77機のリアルタイム線量測定システムで30数台に異常値が出た。方々から原因を質されると、規制庁の監視情報課は「富士電機の可搬型ポストの一部で光電子増倍管が高い線量の放射線を受けると実際の数値よりも跳ね上がる場合がある」というこの件とは全く関係のない話を撒いたので問題になった(メディアの多くは機器の不具合と理解して事なしの報道)。 この時、南相馬市の北町西公園の新設ポストでは市議会議員によって実測で通常値の4倍の数値が記録されており、従来からある規制庁 管理の二本松市・福島市のポストでも異常値が出ており(全国でもこの時期に異常値はこの一帯だけ)、実は県の北部の広域で実際に被曝問題が起きていた。 そして、監視情報課はこちらに対しては富士電機の可搬型ポストのことで「今まで大きなスパイクが出る原因が分からなかったが、その原因らしいものが見えて来た」と言い、これまでの「機器の不具合」云々はその場しのぎのデタラメだったことを暗に認めている。 頻発する異常値は吸引被曝という大問題。α線・β線核種による内部被曝こそが汚染地での被曝の本質。そこで、異常値の原因を特定できるだけのまともな調査体制を日常的に組むか、あるいは、大きな予算を取って広域で核種ごとのホットスポットを徹底調査する必要を強く求めているが、「ご意見として窺っておきます」で終わり。 異常値を「機器の不具合」などのためとするなら、例えば、平均値から下向きの急降下・急上昇のスパイクはなぜ殆ど見かけないのか? そういうスパイクがあった時、監視情報課は機器がどう故障しているのか確認が要る筈なのに何もしない。故障とは思っていないから。 また、大型トラックなどがポストの前に一時停車しただけでもガンマ線が大きく遮蔽されて下向きのスパイクになりそうだが、そんな目立った波形はなかなか見ない。だから、監視情報課が撒いている「汚染された車両がポストのそばに止まって数値を上げる」説も可能性のケースの一つに過ぎないだろう。 ある時から数値が下がったままになるのは、確認してみると、周辺を除染したか、近くにガンマ線の遮蔽物が置かれたか、のどちらかによる(数値が固定したままなら故障の可能性大)。うちの広野町ではポストが新設置されると暫くして数値が下がるが、周辺を除染して“目標値”の年間1mSv = 0.23 μSv/h 以下にする。国・県とは阿吽の呼吸のゼネコンのお仕事。
規制庁とは監視情報課だけでも20時間は様々な問題についてやり取りしているが、母体の環境省は経済産業省と原発推進で一致しており、「福島は安全・安心」の結論ありきで事勿れを続けている。環境省の職員らは、過酷事故を起こしても福島は安全 → 甲状腺癌の子供が 150 人を超えても原発事故とは無関係と、どこまでも「安全神話」を続ける。 最近は数値を臓器の容量で割って何ケタも過小評価にするICRP[国際放射線防護委員会]の被曝換算でもって、県内に住み続けても吸引被曝のリスクは小さい、と言い始めた。 他方、福島県行政は、佐藤 雄平 知事の時代から、県民の流出阻止を何より優先しており、現実はどうあれ、県民の流出阻止と帰還の工作に明け暮れている。
<< 規制庁はイカサマが仕事のようだ >> 原子力規制庁では実に都合よく「異常値」を使う。通常20 μSv/h レベルの大熊町で瞬間的に数μSv/h 上昇しても問題としない。足元の高線量の土壌の舞い上がりでそれぐらいになるから、と言う(普段の舞い上がりが数値を上げる原因だと認めている)。 平時0.1μSv/h レベルの地域で0.5μSv/h ぐらいに上がっても「問題ない」とする。今度は絶対値が低いから。特に雨や雪があると、大気中の放射性のダストを吸収してポストを包むので、それぐらいにはなる、と言う。こちらは福島県外でそういう状況で数値が数倍になったのを見たことがない。 そして、その数値が更に大きくなって無視できないと考えると、規制庁はやっと問題視する。 ところが、それ以下の上昇率であっても、地域の活動や経済に影響するとなると言い訳をこしらえる。2倍程度でも「機器の不具合」のためとする。 また、例えば、2014/ 9/10 いわき市の常磐病院内保育所で通常0.1 μSv/h 程度なのが急に0.9 μSv/h まで9倍も上がったが、監視情報課は「緊急搬送されるような作業員に核種が付着していたのではないか」と全くの想像話を並べて、保育所には「機器の不具合によるもの」と伝えている。この頃は1μSv/h ぐらいは問題なしにしていたのが、影響を考えて“相場”を変えた。第一、密閉されたポストの数値を1μSv/h 近くまで上げる放射性のダストの様態を想像してみれば、そんな衣服の作業員が病院や保育所に普段 出入りしていること自体が極めて問題だ。 そして、最近では、数値が急上昇し始めると、WEBサイトへのデータの出力を遮断する、という信じがたい工作をやる。数値が下がると公表を再開する。数値が下がるまでの間、公表データがない(= 欠測)。この常磐病院内保育所では、2015/ 1/19 に0.22 μSv/h、4/15 には1.8 μSv/h まで急に上がったところでブツンとデータが消えていて、実際、どこまで数値が上がったか不明。勿論、彼らは送信されて来たデータを持っている。 データの出力を遮断すること、監視情報課では故意にやっていることを当初は認めた。福島県の放射線監視室でも 2015/ 4 県北などで異常値が多発した際に同様のことをやっていることを認めた。何のためらいもなく、常習的に、組織的にデータを隠す。 そして、2015 年になると、少し急上昇したところでデータが消えることが目立つようになった。 更に、こちらが新聞・テレビ各社や関係行政に監視情報課のやりようを伝えて彼らに問い合わせが行くようになると、4月半ばからは、大きな急上昇が消えてデータの欠測が目立つようになった。 監視情報課ではメーカー側のサーバーからデータが届いて自身のWEBサイトに出力されるまでの間に“検閲”をやっていないか? 出力までにかなりタイム ラグがある時がある。あるいは、監視情報課では異常値が出ると「モニタリング ポストの校正を指示している」と言っているが、事業者が行政の意を体して機器を操作するようなことは公共事業の世界では普通にあり得る。 実際にモニタリング ポストを管理・補修する事業者の作業の内容が確認されることはなく、第三者による調査が強く望まれる。
そもそも、規制庁の出す数値にはカラクリがある。富士電機だと、全国のポストから刻々データを受け取って、30秒または1分平均の μSv/h に換算した数値をサーバーから規制庁に送信し、規制庁ではこれを10分平均の数値にデータ処理して公開、ということをやっている。 つまり、公開されているデータに空間線量率10 μSv/h とあっても、瞬間的には1mSv/h 以上を記録している可能性もある。相応のα線・β線核種を含んでおり、吸い込んだらそれこそ後日の憂い。 だから、もっと低い瞬間的な上昇・下降は10分平均にする過程でスパイクが消されている。ところが、このレベルはごく日常 起きている。福島は如何に危険か! 規制庁[規制委員会]のサイトは、どこを見ても、今現在 全国のどこで異常値が起きているかが分からない。1週間分の空間線量の折れ線グラフがあるが、1メモリを6時間の平均値にしているという情報隠しで、あとで見ても異常値の有無さえ分からない(広野町役場の例)。 また、ポストは、最も多い富士電機のリアルタイム線量測定システムだとセンサー部分が密閉された筐体内部の地上1mに配置されており、筐体の外表面とは10〜25cm(最近の仕様では中心部に配置)の距離がある。線源が放射性のダスト群のように四方・上部をそれなりの厚さで囲むように存在するのではなくて、固形の高濃度のガレキのように一方向にある場合、数値は実際のガレキの表面線量よりも大きく下がったものになる(点線源のガンマ線の強さは距離の二乗に反比例)。3つの原子炉が爆発をして炉内のものを含めて大量のガレキが飛散したが、ポストは汚染ガレキが付着するケースを想定した作りにはなっていない。 その上、センサー部分の周辺には金属のパーツがあり、上部には太陽光パネルや液晶パネルがあってガンマ線を遮蔽しているが、数値補正をするわけではない。 更に、固定型や可搬型モニタリング ポストの場合は金属の筐体や電源の機材のほか周囲を囲む鉄柵も大きく遮蔽効果になっている。 0.01 μSv/h を云々するにはまことにお粗末。 << モニタリング ポストのメーカーを取材する >> 原子力規制庁が福島県内で管理するモニタリング ポストのメーカーは富士電機・日立アロカメディカル・NEC。福島県が管理するポストは富士電機・日立アロカメディカル・東芝(系)。 各工場を取材すると、そう難しい機器ではないので、測定の精度に関してはおおよそやれる対策は以前からやって来ている。 設置台数が最も多い富士電機では、最も影響しやすい電磁波の影響については、ガンマ線検出に支障が出るレベルまで、金属板のキャップでセンサーをシールドしている。 もとよりポストは近隣に送配電線・変電所がある場所には設置しないことになっており、また、ガンマ線を含む電磁波は距離をおくだけ大きく減衰するので、線源なしにポストの数値が大きく上下することは納品先での実例からも滅多にあることではない、と言う。 電気ノイズの影響が考えられるのはGM計数管・電離箱検出器の場合だが、もし落雷や上空からの放電現象の影響があるのであれば、県外でも相応に起きる筈であり、規制庁でも考慮に入れていない。地殻ガンマ線による影響についても同様。 比較的小さい影響では、シンチレーション式は放射光を受光するレンズが結露で膨張すると数値が上がる傾向があるので、2014 年の夏に防水パッキンを強化。但し、結露で数値が上がるのは数割程度とのこと。 規制庁が言い出した温度の影響について執拗に質すと、ないとは言えないだろう、のレベル。富士電機のリアルタイム線量測定システムは筐体が強化プラスチックで、金属のように内部が高温にはならない。 また、半導体機器なのでデータ エラーが起こる可能性もあるが、確認の取れないNECを除けば、これらの異常値のことでそれと確認できたことはない、と言う。 メーカーの技術部署と話し込むと、こうまで頻発する異常値の原因は機器の不具合ではない、放射線を拾っているとしか考えられない、と言う。 規制庁も原子力安全・保安院時代にメーカーごとに導入の度に性能検査を繰り返しやっている。ポストの発注時には、最低99 μSv/h までの性能を各社に保証させている。 そして、監視情報課は、異常値を示すポストは県内の8割以上を占める富士電機のリアルタイム線量測定システムに限ったことではなく、特定のメーカー・機種でこの現象が起きているのではないことを当初から認めている。こちらが問う前に調べ上げており、彼らも以前からこの異常値に強い関心を払っている。 << 空間線量の異常値の正体 >> 放射性のダストは均等に存在するのではない。これが問題。 2014/ 3 頃、富岡町 夜ノ森地区の国道6号線の検問のところでは、地上1m測定で2μSv/h 程だが、その路肩の地表に線量計を下ろすと50 μSv/h を超える。この土ぼこりや葉っぱを箒でかき集めれば更に桁が上がるわけで、これが風で舞い上がってポストに付着などしたら・・・原子力規制庁はこれを異常値の原因の一つと認めるのだ。 うちの広野町の国道6号線の路肩でも場所によって20 μSv/h ある。こちらが慌ただしく避難場所を転々としている頃には、広野町の沿道で線量計が 100 μSv/h を振り切った、という町民の話を聞いた。 放射性のダストは至るところに吹き溜まりなっており、3機などの爆発で超高線量のガレキも飛散しており、これらの舞い上がりが異常値の主因であることは不思議でも何でもない。季節を問わず、スギ花粉と同じように飛んでいる。 モニタリング ポストの空間線量の異常値は10 μSv/h のレベルはしょっちゅうあり、50 μSv/h を超えることもしばしばあり、更に頻度は下がるが 100 μSv/h を超えることもあるし、500 μSv/h や1mSv を超えたケースもある。この数値のレベルと頻度はキレイに反比例して、相関関係が成立する。直線を描く。つまり、小さいスパイクの原因がAなら大きいスパイクの原因も原則Aとしないのはおかしい。 同時に、これから何かしら自然現象が介在していることが分かるが、南東北〜関東の一帯にダストやガレキとして核種がまき散らされた環境下では、一番には風の作用だろう。 いわき市なら日々0.05 μSv/h ぐらいの幅で空間線量率が上がり下がりしていており、いわき市の南に隣接する北茨城市では変わらないが(下のグラフ)、更に南の日立市辺りまで行くと0.01 μSv/h の幅に落ち着く。この振幅の主因は放射性のダストの浮遊。 ところが、彼らは小さいスパイクは日常の変動の範囲内で問題ないとするのに、大きいスパイクが出ると“これは何かの間違いだ”とする。これのどこが科学的なのか? 何があっても問題がないことにしようとする。
また、セシウムなどの核種は藻やコケを媒体にして大きく濃縮が進む。これが湿地に目立つ“黒い物質”。原発事故の翌年、うちの広野町(福一原発から南に20km強)で最初の除染後の公共施設や道ばたで目に付いたものからそそくさと8サンプルを採取して明星大学で十分に自然乾燥をやった後にゲルマニウム半導体検出器で測ると、最高84.1 万 Bq/kg。地表 約1cm採取なので、原子力安全・保安院の換算では 1,000 万 Bq/m² 超になる。SFの世界だ。他方、もの陰のサンプルは数万 Bq/kg 程度。この問題に広く関心が集まった南相馬市では小高区で 1,000 万 Bq/kg(1億 3,000 万 Bq/m² )以上のものも見付かっている。感覚マヒになる。 これはベクレル数の割には表面線量のシーベルトではそれほど高い数値にならないように思われるだけに、シーベルトでは語れない。 “黒い物質”も乾燥すると、あるいは、胞子として、浮遊して拡散し、湿地などでまた濃縮し、これを繰り返している。
福一原発から北西方向の山野にはとてつもない量の核種が降り積もっており、冬場から春先には北風・西風の強いおろしが浜通りに吹き下ろす。この時期、原子力規制庁の監視情報課が管理する大熊町 大野のダスト サンプリングでは、2014年は冬場には1ヵ月でセシウムだけで万 Bq/m²、2015 年も2月に 8,700 Bq/m² という凄まじい数字(都心は5 Bq/m² 前後)。戦後、癌死が1/10人から1/3人になった大きな原因とされる大気圏核実験での降下量(セシウム 137)は50年間の合計で約 7,600 Bq/m²(1ヵ月の最大は 1963/ 6 の約 550 Bq/m²)。 除染をしても数値が戻る通り、風下の広野町・川内村などの帰還住民は危険な二次被曝に曝されている。止まらない・量が多いの鼻血問題など当たり前ではないか。こちらも 2011/ 9 に土壌汚染濃度の低い中通りの石川町からいわき市中央台(屋外 0.18 μSv/h)に移ると、明らかにノドの調子がおかしくなり、経験がないような軟便が続いた。線量計を持っていわき市内を回ると、たまに瞬間的に数値が跳ね上がった。NNSA[米・国家核安全保障局]による大気中のダスト分析データ。 数値の大・小についてはこういう理屈になるだろう。一般に、放射性のダスト群がポストを覆って通り過ぎれば、数値は大きく上がる。もっと高濃度のダスト群なら、更に上がる。これがポストに振れずにそばを通り過ぎたのであれば数値はそれほどでもないが、濃度的・量的に大きければ、数値は違ってくる。そして、ポストを覆って通り過ぎる場合にはダストがポストに付着するので数値は直ぐには元のレベルにならないだろうし、ポストに振れずにガンマ線だけの作用であれば数値はすぐに戻って折れ線グラフはスパイクを描くだろう。スポットからの放射性のダスト群の舞い上がりとたまたまその辺りにポストがある確率、そして、ガンマ線の飛程が60mや 100 mに達することからすれば、ダスト群はポストに接触するよりもそばを通り過ぎるケースの方が遥かに多くなり、グラフは短い時間のスパイクを描く場合が多くなる。 空間線量率が異常値を示した際、その原因の多くは至るところに吹き溜まりとなっている高線量のダストや飛散したガレキの舞い上がり・浮遊であることは疑いない。 勿論、福一原発に繋がる国道6号線の路肩の汚染具合を見れば、たくさんの車両が運び屋になっている現実もあるだろうし、ポストの台数が多いだけ機器の故障のケースもあるだろう。イタズラのケースもあるかも知れない。X線による非破壊検査のノイズの影響だったとする例は県内ではこれまで1件しか確認できない。 以上のようなやり取りを重ねて、監視情報課は3ヵ月してやっと高線量のダストなどの舞い上がりが空間線量の異常値の主たる原因であることを認めた。しかし、公には認めようとしない。 そして、町なかに10m間隔でダスト サンプリング モニターを敷き詰めて、10秒平均で数値を出したら、毎日そこら中で異常値が確認できる筈で、それを話すと、監視情報課も否定をしない。しかし、とにかく何もしようとしない。 以上は誰でも想像がつくことなのに、我々は安全対策もないまま4年も無為に過ごしてしまった。 << 吸引被曝への対策を急げ! >> 異常値の原因を証明するのは難しい。多くは、線源がポストを離れており、肉眼で分かるガレキなどでない限りは回収することは困難。また、それなりの頻度で回収できない限りは異常値との因果関係を言えないだろう。つまり、状況から蓋然性で判断すること。線源の特定に拘って神学論争では小児甲状腺癌の二の舞。 東京理科大学の中井 泉 教授らが原発事故直後に 130 km 離れたつくば市の気象研究所で採取された大気の粉塵を大型の放射光施設 SPring-8 で分析すると、燃料のウランの他、燃料被覆管の素材のジルコニウム+錫などの合金や圧力容器の鉄が混ざってホット パーティクル(セシウム ボールなどという言い方も)として確認されている。当時、朝日新聞・読売新聞などが報じた通り、3/14・15 に福島第一原発の正門付近で中性子線が確認されており、3号機の大爆発は使用済み燃料プール内部で低濃度ウランによる臨界爆発を伴ったものであることは明らか(東電は中性子線量の経時変化のデータの公表をかたくなに拒否)。大量のキセノン 133 の放出もそれを裏付ける。 あのプール内部には発癌性向の高いMOXを含む 186 t(純質量)もの核燃料があり、その半分が吹き飛んだとしても、これだけで原子力安全・保安院のIAEA報告(2011/ 6/ 6 付)の 100 kg 弱(最初の 150 時間に1〜3号機の炉内のみから大気中へ、ウラン・トリチウムを含めない31核種で 1134.7 京 Bq、レベル7)とは質量が千倍も違う。放出量は 1000 垓 Bq に達する。風下だった南方向では、近距離であれば尚更、これらがそう拡散せずに方々に吹き溜まりになっている可能性が高い。広野町に住民を戻すなど人体実験以外の何なのか? そして、異常値を土壌での核種の偏りから推定するなら、県内の何ヵ所かで 100 m四方を50cmメッシュで核種をサンプリングして成分分析するような調査になる。規制庁にやる意思は窺えない。 3/21 放出のホット パーティクルはほぼ水溶性であることが分かっており、体内に入ると何割かは排便で体外へ出るが、3/15 昼・夜の放出で南に流れたホット パーティクルはほぼ非水溶性で、強酸に漬けたまま加熱しても殆ど溶けず、肺に入れば、0.1μ以下の微少なものでない限りはそのままになる。 市民と科学者の内部被曝問題研究会によれば、県内の大気中のホット パーティクルは直径10〜20μあり、プルトニウムが0.1%も含まれていれば、一粒でも吸い込んだら、やがて発癌は必至。 原発事故の当時、日本側から対処を求められて連日 電話会談を重ねていたNRC[米・原子力規制委員会]は3・4号機の間に非常に高線量の物質が堆積しており、敷地の外1マイルまでに燃料棒が多数 飛散していると報告している(2011/ 3/26、NRCからのダウンロード データ)。NRCはA4で10万頁になる情報を公開した。 福一原発から南1kmの通称ヒラメ養殖場の辺りでは、その調査に駆り出された東電の作業グルーブが 300 mSv/h を記録して退散している。その際、線源は未確認。 そもそも、3号機のあの真っ黒い噴煙を噴き上げた大爆発とそれが南寄りに流れる福島中央テレビの映像を観ていながら、風が真南になったその夜や翌日には更に大きな放出量があったのを知りながら、なぜ、誰も、最も怖いプルトニウム・ウラン・ネプツニウム・アメリシウムなどのスポットやガレキの存在を真剣に考えようとしないのか?!
<< 異常事態ぞくぞく >> 2013 年の夏、楢葉町の井出川の河口(福一原発から南に15km)で最大表面線量でβ線が 35,600 μSv/h、γ線が 400 μSv/h の長さ数cmの破片が4つ見つかった。しかし、これでも、1m離れればγ線の数値はバック グラウンドの中に埋もれてしまう。こんな高線量のガレキがあっても、周辺の空間線量には影響しない。 JAEA[旧動燃]での成分分析から、東電はこれを福一原発のものだと認めた。しかし、飛んで来たとも海から流れ着いたとも不明。3機が爆発したのだから飛来は何もおかしいことではないし、海経由なら、相当 減衰してその数値ということになる。東京電力の会見。 また、空間線量の異常値は、時期的な傾向で言うと、2014 年は、例えば、前半に広野町で目立って続いたが、後半になると、場所を移したように南のいわき市で多くなった。福島市など、あるモニタリング ポストで異常値があると、近いポストで続く傾向がある。 2013/ 8/12・8/19 頃、福島第一原発でダスト サンプリング モニターのアラームが鳴り、3号機のオペレーション フロアのガレキ撤去作業で粉塵が北北西20km以上に到達。後で南相馬市小高地区の水田で 100 Bq/kg 超えの稲穂が多数 見つかったとメディアのレベルでも問題になった。 東電は、現場作業員などの衣服の汚染で異常に気付きながら、地元には何も知らせず、翌年7月になってガンマ線核種で兆 Bq 単位が飛散したと発表した。全く怒りに震える! 原子力規制庁の監視情報課も福島県の放射線監視室(浜通りに独自にモニタリング ポストを設置)もそれぞれ環境放射線のモニタリングをやっていながら、原子炉建屋から北1kmのポスト(全て地上に設置していて意味がない)で0.1μSv/h 上昇しただけだったので、何の対応も執らなかった、としている。3.11 の際と同様、ダストは主に上空を飛んで落ちたと思われるが、この時、浪江町の川添葉山会館と川俣町の山木屋 田代集会所の2つのポストで異常が確認でき、この理由もWEB上には「機器の不具合」となっている。 2014/ 3/12 〜3/22 頃には、浜通りから更に広域で空間線量が大きく上がって騒動になった。楢葉町の知人が調べに出ると、先にも書いた富岡町 夜ノ森の国道6号線の検問のところで地上1mで通常2μSv/h なのが、車内で4.5μSv/h ほど。検問の内部に入った人が人がいて、7μSv/h を記録。こちらが 3/11 に富岡町内を車で回った時、1.5μSv/h 前後だったが、3μSv/h はあった、とのこと。 福一原発から6・7kmの距離でこの数字で、これは前年の3号機ガレキ撤去による飛散量どころではない。 ところが、この件は遅れて気付いて調べると、この間、原子力規制庁の監視情報課はモニタリング ポストには特に異常な数字はないと言い(3/22 広野町の海沿いの高野病院で通常値の約4倍に急上昇)、福一原発周辺にポストを設置している福島県の放射線監視室では、この間、1週間以上もデータの更新中やらでデータがないと言う。極めて怪しい。
毎回、放射性のダストが飛散しても、異常値が発生しても、(1)国も県も東電も数字を隠す、問題なしの結論を続ける、(2)地元には知らせない、必要な対応を執らない。 福一原発から南に20km少々のうちの広野町には住民が 2,300 人余り、内、子供も 500 人以上が戻っているが、町行政は何の被曝対策も執ろうとしない。町長の遠藤 智(もと東電工業 社員)が先頭に立って住民の帰還促進の旗振りをやっており、教育委員会は児童・園児らにマスクをさせようとしない。 環境丸ごとの複合汚染の状況にあっては外部被曝や食物被曝は被曝の一部に過ぎない。大勢がウクライナ・ベラルーシの状況になることが分かっていながら何をマゴマゴやっているのか! 政府と福島県は、小児甲状腺癌と原発事故との因果関係の白黒には10年を見込むというような愚をやめて、福島県の東半分の住民は一刻も早く遠方に疎開させるべく取り掛かること! 差し当たり、外出時にはマスク必携を呼び掛けること! |
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