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※ バラク=オバマについては時事に関わるので、以後 半年ごとに纏めた「占 例」に掲載します。 |
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USA大統領選挙。3回目のテレビ討論はバラク=オバマ大統領の優勢に振れたが、共和党のミット=ロムニー氏が持ち直して、あちらの新聞社や調査会社の最新の調査では全くの拮抗。The New York Times や The Washington Post はオバマ大統領支持を表明している。 ●バラク=オバマ大統領[民主党]は再選 成るか 6【天水訟】||||上九 ●ミット=ロムニー前マサチューセッツ州知事[共和党]の大統領選挙での成り行き如何 60【水澤節】|||九四 問題の、複数者比較による勝ち負けの占。ご承知の通り、三遍筮法の爻辭読み中心でやると、8割は逆の結果になる。しかし、まま、細部までよく合致することもある。異論のある方は是非 十分なデータをもって反論して欲しい。 それなら、大統領選挙は白黒の単純占なんだから、通常の判断の逆の方を採れば8割 当たるんじゃないの? と。そうすると、こちらは易というものに根本のところで疑いを持っておらず、これが確信に至ってよく卦・爻を得るようになった、この最も玄要な部分に障る問題に出くわす(だから、考案した筮法を試す場合にも、絶対他力で執筮して、状況に阿ずに真っ直ぐに読む)。予め逆を採ることにして筮を執ると、感覚的に違和感がある場合には特に、外す結果になる。こちらの通常の占の読みのデキはともあれ、何か有機的な仕組みが働いている。 そう言うわけで、こういう勝負の占に限っては通常の辞読みがアテにならないと常々 言っているが、ただ、辞読み以外でキレイに断じられる場合には、通常の読みと同様、なかなか外さないことはここでも証明している。 さて、この大統領選挙の占、卦・爻の意味内容で読むなら、ロムニー氏に軍配となりそうだ。 オバマ大統領に得た【天水訟】上九は、一応 訟えで勝つには勝つと言うが、実占では色々と面白くないケースがある。・・・歯が痛んで細々 解説するのがしんどい。 他方、ロムニー氏の【水澤節】九四の「安レ節」は、状況に応じて様々に解釈されるが、大臣 君命を受けるの意があり、就任の占ならまことに宜しい。保守性に評価あり。 だから、判断の逆を採ってオバマ氏の勝利となる確率が高いが、ヘソ曲がりな結果になり兼ねないので、判断をやめます。“易の主宰者”は未来からもこちらを見通している。ただ、上の2題は逆を採ることを念頭にした筮ではない。 これに対して、実占家なら、【天水訟】は勝ち負けには好い卦、【水澤節】は節するのだからダメ、と言うだろう。つまり、オバマ氏の勝利、と。こちらの方がアテになる。ただ、理屈を言うと、こういう白黒の単純占で、64卦の比べっこで9割 当たるかと言えば程遠い(医療や裁判でも9割の勝利はない)。優劣つけ難い卦同士の場合には猶さら。卦の勢いなんてものは使えない。この道は、爻の扱いもよく知れなくて、判断の道具立ての軽重が茫洋としている。 ギャンブル占などで大儲けしているような先生がもしいるなら話は別だが、易者に勝ち負けを問うてはいけません。こちらも「株で大損をした、元手のところまで戻せるか」というような相談はよくあって、その株の盛衰を詳細に観るし、自分でもやっている。しかし、何かしらAとBによる勝ち負けや不労利得の性格が強い依頼の場合には判断に確信を持てないので、お引き受けしていない。 複数者比較による勝ち負けの占、今回も例に漏れず、辞読み中心の読みと逆の結果になった。そろそろ過去占を掘り下げてみますか。 |
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比較の占というのは普通ではない示され方で降りて来る。占題に対して難解な卦だったり、爻辞を採っても事実に噛みそうになかったり。これはこちらだけの現象ではなくて、易占をたしなむ人が口を揃えてこぼすこと。“昭和の易聖”と言われた加藤 大岳 氏も誤占を繰り返したのだろう、数十年前の書に2・3判断のポイントを書いているが、こちらが知る限り、先達らも明確な指針を残していない。 比較の占というのは、例えば、定数1名の選挙で多数の候補者がいたとすると、その内から当選が狙えそうな2・3名をピック アップし、各人の成否について始めに卦を出してしまう。そして、通常の占と同じくそれぞれの卦を読み、比較して、勝敗当落を判ずる[一占多筮]。 ん〜、一名についての成否を見る場合はまあ正常な示され様なので、比較の占は再筮の涜(ケガ)れを帯びて卦を得ないか。これを踏まえて上で、以下。 さて、次期USA大統領選挙。各党の予備選挙は、共和党はジョン=マケイン(71)が早々と決め、民主党はバラク=オバマ(46)がヒラリー=クリントン(60)との接戦を制して勝ち残った。やはり爻辞占を採るのが正解。ここまでは好し。 それで、先の占で最後に残るのはマケインと読んだが、念のため、本選挙でのオバマの行方も出してみた。
これをオバマに当て嵌めると、そのまま努力が功を奏せずに落選、と。 しかし、今までずっと少し意識して、比較のある占では、一般的な卦意よりも爻辞、爻辞の片言節句よりもその意味を採って来たが、必ずしもそれで正解とはなっていない。そこで、示されたもの全てを状況と重ねて考える。 試しにマケインに示された 20【風地觀】||(← 左を上に。以下 同じ)上爻と比べてみると、共に上爻、成卦主ではなく、卦勢でも優劣つかず。本卦同士を比べるなら、マケインの手を揚げる。伸び進み来て民に仰ぎ観られる意かはともかく、之卦とする8【水地比】|の天下統一の意が決定的だ。【風地觀】、優勢だった上爻に当たるオバマが消える画だ。 なら、もう決まりだろうと。 (後記:この頃は[規則 2007]に忠実にやっている) ところが、今回のは少し悩ましくて、オバマに示された変化を大統領選として俯瞰で見るなら、【雷風恆】の8年間 続いた悪逆G=Wブッシュの共和党政権の恆を破って、【火風鼎】の「新しきを取る」、革命後に政策を練っている絵とも見られるわけだ。【火風鼎】は位が定まる。実にスッキリはまる。彼のセールス ワードは「change !」 これだと本卦上爻の凶意は無視されて之卦読み的になるが、たった 384 通りの変しかない三変筮法だから示され方としてあり得ないことではない。三変筮法だから必ずしも要しない之卦・来卦が付いてくる可能性もなきにしも。 以上はいつものように実際の情勢については一切 顧慮せず、純粋に得た卦・爻を見ている。情勢を読むなら6:4でオバマだろうし、今なら「オバマ当選」と言っておけば無難だが、比較の占をやっている意味がない。勿論、読みとはあらゆる要素を踏まえて“妙”として断ずべきもの。 何せ比較の占(今回のは一占多筮ではないが)だからどう転ぶやら知れない。示され方としてはマケインだとは思うが、もしこれでオバマが勝つなら、それはそれで大いに得るものがある。 一日一筮。この占も念を入れて。
教科書的に見ると、陽爻陰位の「不正」だが、内卦の「中」を得、【泰】中の【泰】であり、辞も大吉。この占に相応しく政治の要諦を語っている辞。併し、之卦が凶だ。得たのが三爻である場合も之卦 19【地澤臨】||となって、消長の見方から一歩後退を察する。 こちらの言うところの本来の三変筮法の道具立てとしては之卦は有効とする建前。つまり、凶兆を見る。もしこれで実際オバマが当選したら、それに見直しが要るか、あるいは読みが他にあったか、ということになる。後者の場合、本卦も之卦も【乾】・【離】が【坤】の地の下にあり、画象として引っ掛かるところ。 【泰】中の【否】となる外卦の爻を得た場合はどうなるか。 四爻から上に【雷天大壯】・【水天需】・【山天大畜】と変わるが、これらは来卦であって本卦【地天泰】への推移を見るもので、本卦と意味が矛盾する問題はない。 では、陰陽が逆の 12【天地否】|||の場合はどうか。 【否】中の【否】となる内卦では変卦が来卦だから問題ない。初爻から上に【天雷无妄】・【天水訟】・【天山遯】と変わる。 また、【否】中の【泰】となる外卦だと、四爻から上に【風地觀】・【火地晉】・【澤地萃】の之卦へと変わるが、いずれも本卦【天地否】からの意味的な繋がりが宜しい。 以上は正しい三変筮法がどういうものか、自分で掴んでいないと分からない話。 呑象・燗 嘉右衛門 翁や加藤 大岳 氏が三変筮法で変の使用に否定的になったきっかけにはこの【地天泰】五爻があったかも知れない。之卦を採って、ダメと読んで、誤占した、と。但し、彼等の三変筮法は略筮法[白蛾流]。こちらの言う本来の三変筮法は変の時間・順序等の方向に正・逆ありとしているため、当然 御神明の卦・爻への顕れ方も異なるだろう。その意味で結果が見ものだ。 占を振り返って「ホー」という印象。どちらが勝つかという比較の占では必ずと言ってよいほど卦の示され方が普通ではない。特に最後の占では【泰】中の【泰】を得たが、之卦【地火明夷】をどう理解する?(後記:どうも【乾爲天】・【坤爲地】は時制の方向が怪しいが、【地天泰】・【天地否】も普通の出方ではない気がする)。実際の話、8割方 逆を言っておけば当たるのだ(笑)。 ちなみに邵 康節の「皇極経世書」によれば、今年は 16【雷地豫】|に当たる。彖辞「豫は、侯(キミ = 君主)を建て師(イクサ)を行(ヤ)るに利あり」。日本やUSAは「侯」が替わった。 |
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