■51【震】 |
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雷を天の威嚇として身をつつしめば、その後に幸いがもたらされることの象。
[A][名]●かみなり。いかずち。●東。●威厳。いきおい。
[動]●ふるう。ふるえる。(ア)雷が落ちる。(イ)うごかす。ゆする。うごく。(ウ)地面がゆれる。(エ)おどす。おそれる。
[形]●はやい。●はげしい。盛んなさま。
[B][動]●妊娠する。はらむ。
[字の ナリタチ]霹靂(= かみなり)であり、万物を震動させるものである。「雨」から構成され、「辰」が音。かみなりの「震」は「戦」である。撃たれたところが忽ち破壊されて攻戦(= いくさ)のような案配である。
「震震」●雷・鼓・車馬など、激しくとどろく音の形容。●威勢の盛んなさま。●迅速なさま。●ぶるぶるふるえるさま。 |
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■52【艮】 |
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止まるべきところに止まって、進まない象。
[名]●東北。●限界。限り。
[動]●とどまり静かにする。とどまる。
[字の ナリタチ]很(モトル)。「匕(ナラブ)」「目」から構成され、丁度 目で互いに匕して睨み、譲らない様子である。 |
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■53番【漸】 |
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順序を追って少しずつ徳を蓄えつつ進む象。
[A][名]●事物の発端。きざし。いとぐち。●順序。次第。序列。
[動]●すすむ。(ア)少しずつ、しだいに進む。(イ)(病気が)重くなる。●流れを通す。みちびく。
[副]●しだいに。ようやく。
[B]●流入する。そそぐ。●ひたす。ひたる。●だます。いつわる。
[字の ナリタチ]川の名。「水」から構成され、「斬」が音。
「漸漸」●穂の出そろったようす。●涙の流れるさま。 |
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■54番【歸妹】 |
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正しくない結婚は結局 破綻することを示す象。
【歸】
[A][動]●嫁にいく。とつぐ。●かえる。(ア)婦女が離婚して家に帰る。(イ)家や故郷に戻る。●かえす。(ア)もとの持ち主にかえす。(イ)もといた場所に戻す。●帰属する。つき従う。●一か所に集まる。●自首する。●(本来 帰りつくところに戻る意で)死去する。死ぬ。
[名]●帰省する点。結果。
[B][動]●贈与する。おくる。
[形]●恥じ入ったさま。
[字の ナリタチ]娘が嫁入りする。「止(= ゆく)」と「帰(= つま)」の省略形とから構成され、「師の偏」が音。
【妹】
[名]●年下の姉妹。いもうと。●親類やかかわりをもつ同年か年下の女子に対する呼び方。
[字の ナリタチ]女で弟にあたるもの。「女」から構成され、「未」が音。
[日本語用法]「いも」男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語。上代の語。 |
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■55番【豊】 |
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盛大で明るい状況の下で行動し、この明るさをもって訴えを定める象。
[名]●酒器を受ける盤。
[形]●ゆたか。(ア)盛んに茂っているさま、(イ)生活が裕福なさま。充実したさま。●太っているさま。
[動]●[形 →]裕福にする。
[字の ナリタチ]「豆(= たかつき)」がいつぱいに満たされているもの。「豆」から構成され、象形。 |
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■56番【旅】 |
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特定の所にとどまることなく、旅にさすらう象。
[名]●軍隊の編成単位。500人。●軍隊。●群衆。ともがら。●順序。●背骨。
[動]●外に出て客人となる。(ア)旅客。(イ)旅行。たび。●よそに身を寄せる。●自生する。穀物などが植えないのに野生する。●つらねる。ならぶ。●祭る。
[字の ナリタチ]軍隊の 500 人編成を旅とする。「旅(化なし/= 旗のひるがえり)」「从」から構成され、「从」はー緒にしたがう意。 |
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■57【巽】 |
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従順に道理にしたがうことで、対象にどこまでも入りこめる象。
[名]●東南。
[動]●ゆずる。
[形]●うやうやしく従順なさま。
[字の ナリタチ]具わる。「兀(= 机)」から構成され、「[巳巳]」が音。易の「巽」は「散」である。物がみな生まれて散りひろがるのである。 |
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■58【兌】 |
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身の行いを正しく保つと物事が順調にゆく象。
[A][名]●西。●穴(おもに、目・耳・口・鼻孔)
[動]●交換する。かえる。●まっすぐに通る。とおる。●愉快に思う。よろこぶ。
[形]●まっすぐに通っているさま。
[B][形]●とがっているさま。するどい。
[字の ナリタチ]よろこぷ。「儿(= 人)」から構成され、「沿のさんずいなし」が音。「兌」は「悦」。物が備足を得てみな喜悦するのである。 |
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■59番【渙】 |
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風が水上に吹きつけて水が散ることから。離散の象。
[動]●氷がゆるみ、とける。散ずる。ちらばる。ちる。
[形]●あきらかなさま。美しくつややかなさま。
[字の ナリタチ]流れが分散する。「水」から構成され、「奐」が音。 |
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■60番【節】 |
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節制して、正しい徳が行われるようにする象。
[名]●ふし。(ア)竹や樹木のふし。(イ)骨の関節。●文章の段落。●事件。事態。●事の一端。●季節。節季。●朝廷が使臣に持たせた証拠。●基準。尺度。のり。●節度。常軌。ほど。●礼節。礼儀。●みさお。(ア)節操。節義。(イ)貞操。●めぐりあわせ。●・・・。
[動]●省く。減らす。●取り締まる。管理する。●削る。
[形]●倹約した様。質素な。●高く険しい。
[字の ナリタチ]竹のくびれたふし。「竹」から構成され、「即」が音。●関節の「節」は限節(= ふし)があるのである。 |