■1【乾】 |
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剛健さをもってあらゆることがらが積極的に展開する象。
[A][名]●北西。●(八卦の方位から)天。
[B][動]●すっかりなくす。かわかす。ほす。
[形]●かわく。(ア)かわいたさま。(イ)涸渇したさま。ひからびたさま。●むなしい。●名義上、形式上の。●うわべの。
[字の ナリタチ]高く伸び出る。「乙」から構成され、「乙」は物が届くことであり、「乾の乙のない字 = 日が輝き出す」が音。
「乾乾」自分で努力して怠らないさま。うやうやしいさま。 |
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■2【坤】 |
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従順さであらゆる事柄を受け入れることにより大いに順調にゆくことの象。
[名]●西南。●大地。つち。
[形]●女性の、陰性の。
[字の ナリタチ]大地である。「土」「申」から構成される。「土(=【坤】)」の方位は「申(= 西南)」にある。(地の象徴である)【坤】は「順」ということである。(「乾坤」というように)上から天の象徴である【乾】を順(ウ)ける。 |
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■3番【屯】 |
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険難でゆきなやむ時であるので、君子は世を治め救う象。
[A][名]●困難。苦難。
[B][名]●たむろ。(ア)軍隊が駐屯する所。(イ)多く人が寄り集まる所。●村落。むら。●おか。小山。
[動]●たむろす。(ア)寄り集まる。多くものが一か所に寄りとどまる。(イ)駐屯する。守りのためにとどまる。
[字の ナリタチ]困難。草木の芽生えはじめの際に、曲がって難儀するようすに象(カタド)る。「屮(= 草木の芽)」が「一」を貫くさまから構成され、「一」は大地であり、尾部が曲がる。「易」に「【屯】は剛の陽気に柔の陰気とがはじめて交わって困難が生じた」という。 |
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■4番【蒙】 |
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物事にくらいことを表す象。
[A][名]●ヒルガオ科のつる性の一年草。他の植物にからみついて寄生し、根は消失する。菟糸(トシ)。●覆いかくすもの。覆い。●子ども。[形 →]無知。無知な人。愚者。
[動]●おおう。(ア)かぶせる。(イ)覆いかくす。(罪を)かばう。(ウ)あざむく。●こうむる。(ア)(恩や教え、または災害を)受ける。(イ)受けつぐ。●物ともせず押しのける。おかす。
[形]●無知なさま。おろかなさま。物事にくらい。くらい。
[代]●わたし(謙遜の自称)。
[B][名]●「蒙古」の略。
[字の ナリタチ]大きな蘿(ジョラ = ひかげのかずら)。「艸」から構成され、「蒙の草冠がない字」が音。「蒙」は太陽光が明るくなく蒙蒙(= ぼんやり)としたさまである。 |
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■5番【需】 |
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いかなる事態にあっても待てば通じる象。
[名]●必要な物。もとめ。●[動 →]進まないで、ためらうこと。ためらい。
[動]●待ちうける。まつ。●必要とする。もとめる。●迷って進めない。ためらう。
[形]●気が弱い。よわい。
[字の ナリタチ]待つ。「雨」に遭遇して進めず、止まってまつ。「雨」から構成され、「而」が音。雲が天に昇(って雨にな)る時はまつ、という。 |
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■6番【訟】 |
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物事が行き違って争いうったえる象。
[名]●裁判。うったえごと。うったえ。
[動]●うつたえる。(ア)裁判をおこす。(イ)無実を弁じる。弁明する。●是非を論じ合う。あらそう。●欠点などをとがめる。せめる。●称揚する。たたえる。
[副]●明白に。公然と。おおやけに。
[字の ナリタチ]争う。「言」から構成され、「公」が音。歌頌(= ほめたたえる歌をうたう)の意ともいう。 |
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■7番【師】 |
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民衆を安んじることで軍隊を蓄え備える象。
[名]●周代、軍隊の編成単位。「旅」の五倍で 2,500 人。●軍隊。●先生。模範となる人。●模範。●専門的に特定の職域・職能をあつかう官。「楽師」「卜師」。●軍師。●工芸・技術などに優れた技能のある人への呼称。「画師」「水師」。●僧に対する尊称。●衆人。大衆。もろもろ。●猛獣のシシ。
[動]●[名 →]師事する。●模範とする。まねる。ならう。
[字の ナリタチ]2,500 人を一師とする。「師の旁」と「師の偏」から構成される。「師の偏」と四周が「師の旁」であるのは衆多の意である。 |
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■8番【比】 |
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地面に水がなじむように、したしむ象。
[A][名]●周代の戸籍の編成単位で、五家を「比」とする。五人組。
[動]●ならぶ。ならべる。●近づきしたしむ。●くみする。●すくう。助ける。
[形]●密集している様。●となりあっている様。ちかい。●いつもの。すべての。
[副]●さきに。●みな。ならびに。●ちかごろ。このごろ。●連続して。しきりに。
[B][名]●先例。きまり。ためし。●同類。なかま。ともがら。たぐい。
[動]●くらべる。●ならう。
[字の ナリタチ]親密である。二つの「人」は「从(シタガウ)」となり、「从」を反転したものが「比」となる。五軒の家を「比」ともいう。親比しあうのである。
「比比」●しばしば。つねづね。しきりに。●どれもみな。どこでもすべて。●どこでもある。いつでもある。常に存在しているさま。 |
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■9番【小畜】 |
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君子にとっては小枝である文章などの学問を蓄積して時機を待つ象。
【畜】
[A][動]●集積する。たくわえる。●禽獣を飼育する。かう。●扶養する。やしなう。●受け入れ許す。いれる。●とどめる。●このむ。
[B][名]●鳥や獣。特に家畜となっている禽獣。
[字の ナリタチ]耕作による蓄積。「玄」と「田」で「畜」とする、という。 |
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■10番【履】 |
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強く履行し、上下の秩序をはっきりさせて民を安定させる象。
[名]●領土。●履物。靴。●幸福。
[動]●ふむ。(ア)足の裏で踏み付ける。(イ)実行する。(ウ)職に就く。位に昇る。?経る。通りすぎる。(エ)経験する。●靴をはく。
[字の ナリタチ]足が依存するもの(履物)。「尸(= からだ)」「彳(= いく)」「夊(= いく)」から構成され、「舟」は履物の形に象(カタド)る。一説に、「尸」は音という。「履」は足で履むので、そう名づけられた。「履」は「礼」である。足を飾って礼をなすものである。 |