山 風 蠱

公表された31核種と隠された膨大な核種
2012/ 6/26(改 10/15)
 下は原子力安全・保安院が昨年 6/ 6 付けで8月に発表した31の放射性核種。同 10/20 付けで僅かに訂正して、福島第一原発からの放出量は最初の 150 時間で 1134 京 6725 兆 4417 億 Bq としている。
 これは「チェルノブイリ フォーラム 2005」でウクライナ・ベラルーシ・ロシアとIAEA[国際原子力機関]・WHO[世界保健機関]ほかが確定したチェルノブイリ原発事故の放出総量 1,365 京 Bq の85.6%に当たる。勿論、「- 2005」のも保安院のも過少申告の数字。
●この放出量についてのカラクリはこちら
●東京電力が主張する「チェルノブイリの1/6」のカラクリについてはこちら
 ところが、福一原発からは 3,000 種類もの放射性核種[放射性同位元素・同位体]がバラ撒かれており、1134.7 京 Bq とはその僅か31種類の合計に過ぎない。且つ、これ以外の核種は放出量が少ないわけでは全くない。

 3/14 巨大爆発を起こした3号機の使用済み燃料プールには生体にとって格段に危険なMOX燃料を含む使用済み・未使用のウラン燃料が 566 本(186 t)あった。続いて爆発した4号機の炉心には 548 本(180 t)あったと見られる。軽水炉用のこのウラン 235 は半減期 約7億年で、放射性核種の中でもプルトニウム等と並んで最も有害。「セシウム・セシウム」と騒ぐが、放出したセシウムが合計しても 100 kg ほどに過ぎないことを考えた時、これだけのウランの行方が隠されていることを何とするか?
 この31核種には、放射性水素のトリチウムを含めていない。放射するβ線はストロンチウムと比べて微弱だが、100 京 Bq もの量が放出された環境では内部被曝が問題になり、トリチウムは全身の血液細胞などを破壊する。水素ガスとして吸引した場合よりも水となって体内被曝した場合には実効線量が1万倍ほど大きい。これは4月上旬に汚染水の大量放出をやって海洋汚染の騒ぎになり、関係各国で巨額の国際賠償請求の動きになったので、この流出量を示さなかったものと思われる。東京電力は、トリチウムコスト的には取り除き難いために、水で薄めて全量を海に流す考え。薄めることに何の意味もない。
 希ガスのクリプトン85も含めていない。これは発癌物質で、2号機を中心にずっと出続けており、今ではセシウムと同じ10京 Bq のレベルにはなっている。青森県の六ヶ所村の再処理工場では、年 800tの使用済み核燃料を処理し、毎年33京 Bq のクリプトン85を大気中に放出する予定。
 それに、キセノン・クリプトンなどの希ガスや安定物質のヨウ素 133 を除けば最も放出量が多いと見られる放射性ヨウ素 135(131 の一桁上の Bq 量)を実際の二桁下に見積もっている。β崩壊して放射線ヨウ素 129(半減期 1600 万年)に変わるテルル 129 mも含めていない。
 その他、放射性ヨウ素もセシウムもプルトニウムも、半減期の短い同位体を省いている。
 また、東電は 2012/ 5/24、ヨウ素 131 の大気への放出量を50京 Bq と修正。計、1168.7 京 Bq。
 今年12月から既存検体の調査を始めるという史上最悪・最悪の核種プルトニウム 241 はどう過小に公表するか、保安院は考えているだろう(後記:プルトニウム 241 は半減期が14.4年で、ほぼα線核種のアメリシウム 241 に変わるが、これはどのプルトニウムより放射能強度が大きい。2011/11/29 付けの原子力災害現地対策本部・福島県災害対策本部のプルトニウムについての土壌調査の結果からすると、福島県はそちこちでアメリシウムが 1000 Bq/m² レベルという事態になる)。

 我々はこれらの一つ一つを食物から、水から、大気から、日々 体内に取り込んでいる。今では安定同位体に変わって放射線を出さない核種も多いが、化学的毒性は別。
 セシウムと簡単に言うが、体内に取り込んだ場合の被曝による致死量は青酸カリの 2,000 倍(青酸カリは半数致死量が 200 mg。セシウムは0.1mg =3億 2000 千万 Bq =約4 Sv/h で半数が死ぬ)。
 現在までの放出量は、圧倒的な希ガスのキセノン 133 がそこら中から出ているので、今では1垓 Bq にはなるだろう。一体、何粒 出たのか、という原子核数になると、桁は垓の上の禾予(ジョ)になる。

 癌や白血病になった上に、十年裁判、なんて人生をやりますか? 生活保護を受けても、まずは避難すること。



「AERA」2011/ 6/27 のコピー。
「特 徴」にはIAEA[国際原子力機関]寄りでおかしな記述が目立つ。


原子力安全・保安院が昨年 11/20 付けで最終訂正した放射性核種と各放出量。




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