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海保の義士、一色 正春
義士は問われず
2010/11/11、11/13、11/15、11/18、12/21、2011/ 1/13
中国漁船らしき船艇の衝突事件のビデオ映像を YouTube に流した海上保安官(43)は国家公務員法 100 条[守秘義務]違反となるか? 職務上 知り得た秘密はしゃべってはいかん、というやつだが、はたして流出分の映像の内容が守秘義務の対象になるだろうか? 即ち、ポイントは、流出分の映像は、非公知で、保護すべき必要があるのか、の点。不正アクセス禁止法の件と、検察でも意見が分かれている、と報じられている。
それから、官房長官の仙谷 由人は海上保安庁の綱紀を正すことが大事だと論点をそらす。それに乗るなら、この東大 法学部 出身の弁護士のポンタは、中国の暴力船長を一転して釈放して、犯行場面の映像を世間の目から遠ざけた、そのことが、それこそ日々 命を懸けて海の前線に立っている海保の現場をどれだけ腐らせたことか。
さて、件の海上保安官の義士、はたして起訴となるものか、一筮した。
占 題
ビデオ映像を流した海上保安官は起訴されるか
三 遍 筮 法
得 卦
37 風火家人
伏卦 53 風山漸
互卦 64 火水未濟
錯卦 40 雷水解
綜卦 38 火澤睽
初九、家を有(タモ)つ(= 家人を迎え入れる)に閑(フセ)ぐ(= 始めに教化して家人が過失に陥るのを防ぐ)。悔 亡ぶ。
象に曰く、家を有つに閑ぐとは、志 未だ變ぜざれば也(= 家人の志が変わらない内に防ぐ)。
この内卦【離】||(← 左を上に。以下 同じ)は【艮】|の “門” に初九の陽爻の閂(カンヌキ)を嵌めた画。この卦・爻にはそうして「家」を守り、宜しからぬ過(ワザワイ)を犯さぬようにする、の意。爻辞の「閑」には法則規律の意もあって、法で守る、ともなる。
だが、外卦【巽】で “物事 果たさず(下に書く)、互卦【火水未濟】の全爻不正で、どうも立件には要件が整わない様子。
そこには、「家を有(タモ)つに閑ぐ」の「家」(= 初爻を裏返した時の内卦の【艮】の象)、即ち、大切な
海保という組織をダメにしてしまわぬように
、という配慮・思惑が背後に窺われる。これには“単独犯”なのか辺りのことが絡んで来るだろう。あるいは、この「家」は菅 内閣に当てても通るから面白い。逮捕となれば、内閣支持率の続落に貢献するだろうから。
以上を現実に重ね合わせると、
起訴はされず
、となるか。
この卦・爻は、こうした内容の占の場合、「家」を守ろうとして、
“それでどうなるか” の読みが厄介
なのだ。因果関係を間違えがちで、まるっきり逆の占断になってしまう。
適当な過去占が少なくて、毎度の明治時代の呑象・燗 嘉右衛門 翁を引きますと、商法の施行が延期されるか否かという占例がある。全国の商人の9割が商法の延期を望んでいるので、これを「閑有家。悔亡」と云い、商法発令を防がなければ「家」、即ち、商家を保つことが出来ないと云っているのだから、政府も商法の発令を延期することになるだろう、と読んだ占。事実そうなった。確か日清戦争の少し前のことで、当時、すぐ施行か延期かのどちらか、という状況だったようだ。
翻って今回の占を観ると、日本国民の大勢は「件の愛国の海上保安官に何ほどの罪がある?! 売国をやっているのは誰だ?!」だ。「家」は何れであっても、この因果関係でもって、
結論は不起訴
、と。そして、「悔 亡ぶ」。
【風火家人】を分解してみると、二〜四爻の互体に【坎】の “法律・司法手続き” があり、内卦【離】で“逮捕状を発行”したが、裏に【艮】の「家」やら止(トド)まるの象があって、外卦【巽】は “物事 果たさず”。また、この外卦【巽】は【倒兌】の【兌】口で、これは内卦のこの事件・状況を向いての“世論”であり、そこには三〜五爻の互体【離】の “国民が憤慨し切っている様” がある。他方、逮捕となる積極的な要素は見当たらない。
伏卦【風山漸】があるから逮捕 → 起訴へのステップも思えなくもないが、ここは、
【風山漸】で当局は逮捕・起訴への段取りを進めたけれども、「家を有(タモ)つに閑ぐ」、不起訴
、と観るのが正解だろう。
それに、もし厳しい結果となるなら、もっと他の卦・爻が示されてよい。
実際、これ、公判維持が大変だろう。専門でもないので争点がハッキリしないが、検察は映像を秘密とすべき具体的な理由を求められる筈。海上保安官の多くが見ることの出来た、現場の研修用に編集された流出分の映像にどれほどの機密性があるか? あれに外交カードの価値がある? 全編の公開なしに以上を立証できる? そもそも、この映像、当初は全て公開することで進んでいた。判事は法と良心に基づいて裁くことになっている。
件の海上保安官(43)は取り調べが続いて、逮捕如何は来週になるという。それでは、
占 題
ビデオ映像を流した海上保安官は逮捕となるか
三 遍 筮 法
得 卦
60 水澤節
伏卦 19 地澤臨
互卦 26 山雷頥
錯卦 56 火山旅
綜卦 59 風水渙
九五、節に甘んず。吉。往けば尚(タット)ばるること有り。
象に曰く、節に甘んずるの吉とは、位に居ること中(チュウ)なれば也。
「甘節」。
逮捕されることなく終わる
だろう。
この卦・爻というのは結果的に中庸が図られる。そして、五爻のこの海上保安官だけではなくて、大衆が納得できる、満足される結果になるし、そうならねばならぬ。
官房長官の仙谷らの意思とは綜卦【火澤睽】で相容れぬ。
もし彼が逮捕となるなら、この上爻の「苦節」が示されてよい。
この国はメディアこぞって、何々に抵触しているから逮捕すべきとか、矮小化した形式論が大好きで、ヨーロッパ人辺りには冷笑されている。
だが、この海上保安官には気の毒だが、個人的には微罪逮捕ぐらいで結構。この呆れた内閣の諸々の問題を更にえぐるためのガソリンになるだろうからで、倒閣が早まるだろうから。
但し、
仙谷らは、ビデオ映像の全面公開の是非という本論をこの保安官の成り行きという傍論へと、国民の目をそらせている。
結 果
11/15 夕方、警視庁と検察はこの海上保安官(43)を国家公務員法(守秘義務)違反容疑で
逮捕しない方針を決めた
、と。今後も任意で捜査は続け、書類送検する方針。と報じられている。
まあ、いつもの通りこんなもの。
逮捕なしについては問題なく的占。
さて、予言しておいた“第二幕”だが、ビデオ映像の全面公開が早いか、あるいは、菅 内閣が先に倒れるか。
占 題
ビデオ映像を流した海上保安官に対する行政処分如何
三 遍 筮 法
得 卦
38 火澤睽
伏卦 64 火水未濟
互卦 63 水火旣濟
錯卦 39 水山蹇
綜卦 37 風火家人
初九、悔 亡ぶ。(同じ陽爻陽位の睽独の)馬[九四]を喪(ウシナ)ふとも逐(オ)ふこと勿れ、自(オノ)ずから復る。惡人[九四]を見る(= 面会する)も(含弘ならば)咎(トガ)无(ナ)し。
象に曰く、惡人[九四]を見るは、以て咎を辟(サ)くる也。
行政処分の方はされるだろう。
これは交際とか出処進退が窺える卦・爻で、爻辞に「惡人を見れば咎 无し」、「象 伝」に「惡人を見るは、以て咎を辟くる也」と行政側の態度があるけれど、これは実際には行政側が凶咎をやる。
懲戒免職の如何についてはそのことを占的にしたわけではないのでハッキリしないが、この爻辞をそのまま読んでみると、例えば、
減俸とか停職とかの処分が下されて、この海上保安官はそれには従わずに、自分から職を離れることになる、そんなような様子
が窺える。この卦は“背く”であり、「雑卦伝」に「外なり」とある通り、
外に別れて行く意
あり。
「逐ふ勿れ」で、応じる位地の四爻の上司や周囲は積極的にこの海上保安官の出処進退を止める様子はない。「象 伝」に結局は「咎を辟くる也」とある通り、互いの
暗黙の了解でもって実質的には処分を避ける
やり方とするのではないかな、と。この卦・爻には、何というか、
「悪人」をやんわりと上手く処理
して事態を終えるニュアンスがある。
この卦は上爻の方へ、上と進むに従って悪人性は薄くなる。初爻はそれが一番 濃い。だから、全くお咎めなし、なんてことはないだろう。
それにしても、呻ってしまうな、この御神明には。
結 果
この海上保安官は、【火澤睽】の通り、巡視艇「うらなみ」の主任航海士から待機要員である「予備員」に配置換え、即ち、
部外に出された。
そして、12/21、上保安庁は彼の
停職1年の処分を決めた。
だが、彼はその前に退職願を出しており、処分が決まった後、
依願退職
した。
行政処分の件、キレイに読みの通り。
残すは、刑事問題の方。
結 果
起訴猶予処分の方向に決まった。これも読みの通り。
逮捕はされない、行政処分はされる、起訴はされない、全て的占。
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