易占機考

象 意 考
 
●「象意考」は、江戸中期の易学者 新井 白蛾が著した「易学小筌 -ショウセン」に記されている。これは江戸易の草分け的存在である大易者 平澤 随貞の同名の書にある「卦象解」を手本に作ったと思われる。

*     *     *

■1【乾爲天】 龍 変化を示すの象、万物 資(ヨ)って始むの意
■2【坤爲地】 含弘 斐(アヤ)あるの象、品物(ヒンブツ)資(ヨ)って生ずるの意
■3【水雷屯】 龍 水中に動くの象、草昧 寧からざるの意
■4【山水蒙】 巌険雲烟(ガンケンウンエン)の象、花を生じて未だ開かずの意
■5【水天需】 密雲 雨 降らずの象、雪中 梅 綻(ホコロ)ぶの意
■6【天水訟】 天水 違い行くの象、田猟無獲の意
■7【地水師】 地勢 渕に臨むの象、寡を以て衆を伏するの意
■8【水地比】 衆星 北に拱(ムコ)うの象、和楽 隔てなきの意
■9【風天小畜】暁風残月の象、相親しみ相疎んずるの意
■10【天澤履】 尊卑 分 定まるの象、虎の尾を履む如きの意

■11【地天泰】 麟角 肉あるの象、雁 衡陽に至るの意
■12【天地否】 月 霧裏に蔵るの象、寒鶯(カンオウ)春を待つの意
■13【天火同人】闇夜(アンヤ)灯を揚ぐる象、管鮑 金を分かつ意
■14【火天大有】窓を穿って明を開くの象、深谷 花を発(ヒラ)くの意
■15【地山謙】 山に登って平安の象、物を称(ハカ)って平かに施すの意
■16【雷地豫】 雷 地を出でて奮うの象、行止 時に順うの意
■17【澤雷隨】 馬に乗って鹿を追うの象、我 動いて彼 説(ヨロコ)ぶの意
■18【山風蠱】 門内 賊あるの象、石上 蓮を栽える意
■19【地澤臨】 黄花 叢生(ソウセイ)の象、少女 母に従うの意
■20【風地觀】 風 塵埃(ジンアイ)を揚ぐるの象、花を見て雨に遇うの意

■21【火雷噬嗑】頥中(イチュウ)に物あるの象、夫婦 閨(ネヤ)に怒る意
■22【山火賁】 門内 美を競うの象、明 遠きに及ばざるの意
■23【山地剥】 鼠 倉廩を穿つの象、旧を去って新を生ずる意
■24【地雷復】 地を掘って宝を得るの象、破屋 重ねて修むの意
■25【天雷无妄】雷暑に逢うて震うの象、石中 玉を蘊(ツ)むの意
■26【山天大畜】金 巌中に在るの象、浅水 舟を行(ヤ)るの意
■27【山雷頥】 壮士 剣を執るの象、匣中 物を秘するの意
■28【澤風大過】常山の蛇の如きの象、馬を花街に走らす
■29【坎爲水】 二人 水に溺るるの象、宝を載せて船を破るの意
■30【離爲火】 雉(キジ)網中に羅(カカ)るの象、秋葉 風に飄(ヒルガエ)るの意

■31【澤山咸】 山沢 気を通ずるの象、鶯 吟じ鳳 舞うの意
■32【雷風恆】 平行 相背くの象、咎めもなく誉れもなきの意
■33【天山遯】 貴人 山に隠るの象、井を鑿(ウガ)って泉なきの意
■34【雷天大壯】猛虎 角を生ずるの象、錦を衣て夜 行くの意
■35【火地晉】 満地錦繍の象、人 玉階に登るの意
■36【地火明夷】嚢中 物あるの象、雨後 苔色(タイショク)の意
■37【風火家人】窓より月を見るの象、気あって形なきの意
■38【火澤睽】 桃李 美を競うの象、方円 用あるの意
■39【水山蹇】 門前 陥(オトシアナ)あるの象、寒蝉 風に悲しむの意
■40【雷水解】 川を渡って未だ乾かざるの象、雷雨 緩やかに散ずるの意

■41【山澤損】 貴賤 位を正うするの象、奢りを損して孚(マコト)を存するの意
■42【風雷益】 風 蘆花を払うの象、耒耜(ライシ)邦を利するの意
■43【澤天夬】 蛟龍 天に登るの象、羝羊(テイヨウ)触るるを喜ぶの意
■44【天風姤】 果 樹頭に在るの象、鳳 出でて鸞に遇うの意
■45【澤地萃】 鯉 龍門に登るの象、妓歌 衆 従うの意
■46【地風升】 橋上往来の象、三月 説(ヨロコ)びあるの意
■47【澤水困】 鴉(カラス)枯れ木に啼くの象、沢中 湿いを脱する意
■48【水風井】 海人(アマ)魚を求むの象、病夫 市に行く意
■49【澤火革】 腐草螢火の象、金を売って物を買うの意
■50【火風鼎】 鼎鼐(ダイ)調味の象、微服 宋を過ぎるの意

■51【震爲雷】 二龍 玉を競うの象、声あって形なきの意
■52【艮爲山】 山上 関を鎖(トザ)すの象、葛るい 身に纏うの意
■53【風山漸】 山中 木を植ゆるの象、千里一歩の意
■54【雷澤歸妹】少女 男を追うの象、顚倒齟齬(テントウソゴ)の意
■55【雷火豐】 俊隼(シュンシュン)雉を獲るの象、残花 雨を待つの意
■56【火山旅】 日 西山に傾くの象、鳥を見て矢を失うの意
■57【巽爲風】 風黄風(オウフウ)舟を覆すの象、枝 折れ幹 仆(タオ)るの意
■58【兌爲澤】 新月 池に映ずるの象、誉(ホマ)れあり譏(ソシ)りあるの意
■59【風水渙】 順風 帆を駕するの象、萍水(ヘイスイ = 浮草と水、流浪の例え)相逢うの意
■60【水澤節】 狐 泥中を渉(ワタ)るの象、穽(セイ)を作って自ら隕(オ)つるの意

■61【風澤中孚】鍋釜 蓋を得るの象、鶴 鳴き子 和するの意
■62【雷山小過】飛鳥 山を過ぎるの象、門前 兵 有るの意
■63【水火旣濟】芙蓉 霜を載するの象、西施 国を傾くの意
■64【火水未濟】暁光 海に浮かぶの象、花 落ちて実を結ぶの意



六十四卦上の月定会局
 
●「月定会局」は新井 白蛾が64卦を12月に割り当てたもの。
 例えば、一年の諸情況を観る年筮で或る卦を得たら、その卦に配当する月にその年を象徴する出来事が起こるとか、その月を境に状況に変化があるとか、と言った判断に用いる。
●以下は旧暦。新暦で見るなら【地雷復】は12月の冬至の卦。
●|(陽)(陰)の符号は左を上にして見る。

*     *     *

11月【地雷復】 |子
12月【地澤臨】 ||
1月【地天泰】 |||


2月【雷天大壯】||||卯

3月【澤天夬】 |||||
4月【乾爲天】 ||||||巳
5月【天風姤】 |||||
6月【天山遯】 ||||未
7月【天地否】 |||

8月【風地觀】 ||酉

9月【山地剥】 |
10月【坤爲地】 亥
【風天小畜】【山火賁】【水澤節】
【火風鼎】【山天大畜】【雷水解】
【火天大有】【水火旣濟】【風山漸】【雷風恆】【天火同人】【山風蠱】
【澤山咸】

【澤風大過】【雷山小過】【澤火革】【天雷无妄】【天水訟】【火澤睽】
【火地晉】
【水風井】【風水渙】【天澤履】
【艮爲山】【離爲火】【巽爲風】
【火山旅】【澤水困】【雷地豫】
【風火家人】【水雷屯】【澤地萃】
【雷澤歸妹】【山澤損】【地水師】【水地比】【澤雷隨】【火水未濟】
【風雷益】

【地風升】【山雷頥】【山水蒙】【水山蹇】【風澤中孚】【地火明夷】
【水天需】
【火雷噬嗑】【地山謙】【雷火豐】
【兌爲澤】【坎爲水】【震爲雷】



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