U.S.A.か中国か


頭を下げ続けて外交問題が解決したか?
2007/ 4/13
 時事、少々 思うことあり。たまには硬派な話も。

 いわゆるU.S.A.での“従軍慰安婦”問題の異様な盛り上がり。
 これは、日系のマイク=ホンダという民主党の下院議員が今年1月、日本政府への慰安婦に対する謝罪要求決議案を下院に上程したことに始まる。決議案とはこんな主旨だ:

 「日本の帝国軍隊が 1930 年代から第二次大戦を通じてアジアおよび太平洋諸島の植民地、および戦時占領の期間に行った若い女性を慰安婦として世界に知られる性奴隷へと強制したことに対し、日本政府は正式に認知、謝罪し、明白で無条件な形で歴史的責任を受け入れるべきである」

 これ、実際に主張している内容は中国流の白髪三千畳どころか妄想や錯覚による誇張や事実のねじ曲げというべきもので、戦前の日本はまるでドイツ・ナチスの計画的ユダヤ人大虐殺に匹敵する悪虐をやったかのようなセンセーショナルなストーリーになっている。とても正気ではない。

 下院 唯一の日系人で、カリフォルニア州でもとりわけ中国系・朝鮮系の比率の多い選挙区を持っているマイク=ホンダは、世界抗日戦争史実維護連合会その他の中国系の反日団体から政治資金を得て 2001 年に下院議員に当選すると、翌年から執拗にこの決議案の提出を繰り返してきた。これまでは下院・上院も共に共和党系が優勢だったのが、去年の中間選挙で民主党が両院で議席を引っ繰り返したため、今回6回目にして初めてこの決議案が可決されようというのだ。
 ただそれだけなら捨て置いても害はないが、近年 付和雷同のこの国の主要新聞がこぞって「日本は謝罪せよ」と大合唱を始めたのだ。戦後は“赤狩り”のマッカーシー旋風に始まって、最近では9.11後にホワイトハウスがイラク侵攻のための世論づくりに仕掛けた全米無差別テロの“鬼が出るぞー”など、全体主義の発作はこの国の持病だ。

 ワシントン ポスト紙は 3/24 付けで安倍 晋三 首相の姿勢を批判してこんな社説を書いている。つまり、拉致問題と60数年前の“従軍慰安婦”問題を天秤に掛けて、日本が拉致問題で世界の協力を得たいなら、この問題で被害者に対して心から謝罪すべきだ、と:

 「彼は北朝鮮による日本人拉致問題には熱心だが、日本の戦争犯罪には盲目である。〜第二次大戦中に何万人もの女性を誘拐し、陵辱し、性的な奴隷とした日本の責任を追及する運動に対しては、奇妙なぐらい消極的である」



慰安婦関係調査結果発表に関する
河野内閣官房長官談話
平成5年8月4日

 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過(アヤマチ)を決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。
 
 “従軍慰安婦”? 戦前戦中、軍隊の進駐するところ公娼・私娼を問わず慰安所を持たなかった国はない筈。現地の慰安施設に対して軍の末端部隊が性病予防などの管理に努めるのは当前だろう。
 しかし、日本の政府や軍の中央が命令を出して、強制的に朝鮮・中国その他の国々の女性たちを狩り集めて慰安所に拘束し、劣悪な環境の下で過剰に働かせていた、などの指摘・・・安倍 晋三 首相も国会答弁で完全否定しているが、そうした強制の事実がどこにあるのかということだ。米下院が騒いでいるのはそういう行為だ。
 米下院では自称 被害者の証言だけが次々に語られ、一方の言い分を重ねるだけで、議論の基礎となる客観的な検証が全くない。
 証言した李 容洙・金 君子[韓国人]の慰安所にやってきた経緯の話はどう聴けば日本の政府・軍の仕業ということになるのか。朝鮮人の男に騙されて連れてこられた慰安所の利用客が日本兵らだった、そこで非難の矛先が日本に向いているようだ。多分に自分の側に落ち度があってもかの民族性 豊かに“やられた、やられた”になる。
 ジャン=ラフ=オハーン[オランダ人]は本人の話によれば「スマラン事件」の犠牲者ということになる。インドネシアに駐留していた日本の部隊が軍令に違反して現地の女性の抑留者 数十名を慰安所で働かせていたとされる事件であり、この事件の内容が彼女の証言通りならば当事者の非はもちろん明らかだが、現地の指令部はこれを確認次第 慰安施設を廃止しており、オランダとの戦後補償も終わっている。つまり、これは旧日本軍の上層部がそんなことを命じた事実はなかったという一つの裏付けになっている。

 これで関係のないU.S.A.の議会が日本政府に対して謝罪を要求する筋がどこにあるのか。
 それなら、沖縄戦で避難壕に手当たり次第に手榴弾を放り込んでは住民を惨殺し、内部に火炎放射器を放って丸焼きにし、むごい大量殺戮を行ったのはどこの国の兵隊か。U.S.A.議会はこの際この事実を再び明らかにして、U.S.A.政府は沖縄の人々に対して土下座して謝罪をしなければならない。広島・長崎の一般人 数十万の命を葬った原爆投下の行為はどこへ行ったか。20世紀、常に獲物を求めて世界中でむごたらしい雨を降らせ続け、謝罪どころか反省の気もないのはこのU.S.A.という狂気の国だ。
 今も、この国のトップにいる人物は、石油利権の確保のために証拠をねつ造してイラク全土に侵攻し、人民を無差別に殺戮し続けている。ただの強盗殺人だ。

 ともかく、当時、現地の慰安施設で働く女性には日本人も相当な数がいたようだが、女性らは経済的事情で戦地に赴き、働いて金銭を受け取っている。
 そこで、とりわけ韓国の女性らが被害補償や名誉回復の声を上げて来たが、そのわけはと言えば、敢えてこの稿を延々 汚す必要はない。結局どれもこれも、彼女らの個人的事情、“民族癖”、“お国柄”に帰する話ではないか。個人的に辛い過去があったにせよ、日本政府の意図的・組織的関与を叫ぶウソが糾弾されないのはおかしいし、かの国の人々の錯覚を助長させることになる。
 これらの言いがかりの白黒や責任の是非についてはこの20年近くの様々な検証などでほぼ決着が着いている。



石原 信雄 官房副長官の証言
産経新聞(平成17年7月)

◆インタビュアー:慰安婦と政府のかかわりを示す資料はあったのか。

◆石原氏:国外、国内、ワシントンの公文書館も調べたし、沖縄の図書館にも行って調べた。それこそ関係省庁、厚生省、警察庁、防衛庁とか本当に八方手をつくして調べた。当然といえば当然だが、日本側の公文書では、慰安婦といわれるような女性を強制的に募集するような文書はない。八方手をつくしたがそんなものはない。日本政府が政府の意思として韓国の女性、韓国以外も含めて、強制的に集めて慰安婦にするようなことは当然(なく)、そういうことを裏付けるデータも出てこなかった。(慰安婦の)移送・管理、いろんな現地の衛生状態をどうしなさいとかの文書は出てきたが、本人の意に反してでも強制的に集めなさいという文書は出てこなかった。当たり前で、国家意思としてそういうことはありえない。(中略)ただし、戦争が厳しくなってから「(軍が人数を)割り当てした」「軍の方からぜひ何人そろえてくれと要請があった」と、そういう要請はある。それは、従来であれば、業者の人たちが納得ずくで話し合いで本人の同意のもとに数をそろえた。ところが、戦争が厳しくなってからどうも、ノルマを達成するだめに、現地判断で無理をしたのが想定された。(中略)(韓国女性に)ヒアリングした中には、意に反して(慰安婦)にされたと涙ながらに話した人がいた。

◆インタビュアー:意に反するといっても、親が本人に黙って業者に売ったケースもありうる。

◆石原氏:そこはああいう戦時下のことだから。しかも個人の問題だから、親との話がどうだとかはこれは追究しようがない。(中略)裏づけ、本人の親と会うとか、当時の関係者と会うとかそういう手段はない。もっぱら本人の話を聞くだけだ。

◆インタビュアー:これで日韓間の騒動が収まるとの政治判断によって、かえって問題は大きくなった。訴訟を起こした韓国女性のいう自らの経歴も二転三転している。

◆石原氏:我々はできるだけ客観的事実を聞き取るための条件設定努力を続けたけど、それは限界がある。こっちに捜査権があるわけじゃない。誰がどうだったか、金銭関係はどうだったかとか調べることはできない。それは不可能だ。そこは日本政府の意を受けて強制したかどうかは分からない。(中略)我々は、当時の関係者として、いかなる意味でも日本政府の意を体して日本政府の指揮命令のもとに強制したということは認めたわけじゃない。

◆インタビュアー:河野談話からは、甘言、強圧の主体が誰かが欠落している。

◆石原氏:普通の談話であれば、物的証拠に基づく手法ではああいうものはできない。だから、論者によっては当然、そこまでいかないのになぜ強制を認めたのかという批判はあるでしょう。あの当時、「絶対強制なんかなかった」「とんでもない話だ」と反対意見もあったし。だけども、本人の意思に反して慰安婦にされた人がいるのは認めざるをえないというのが河野談話の考え方、当時の宮沢内閣の方針なんですよ。それについてはいろいろとご批判はあるでしょう。当時からあったが。

◆インタビュアー:石原さんは反対しなかったのか。

◆石原氏:私は補佐役だから、弁解なんかしない。過程はいろいろあるが、政府として内閣として補佐にあたった以上は私は全責任を負わないといけない。個人的にどうだとか言ってはいけない、組織の人間としては。まとまるまでは中で議論があったが、まとめた以上はそこにいた人間は逃げられない。

◆インタビュアー:河野談話が出された結果、国連人権委員会などでも「セックススレイブ」という言葉が使われるようになった。

◆石原氏:それはもちろん、そういうことに利用される可能性は当然ある。限られた状況の中で意に反した人がいたと認めれば、やはり訴訟している人たちは一事が万事、すべてが強制だと主張しているが、それを認めることになるというリスクは当然、あの談話にはあるわけだ。それは覚悟した。そういう風に言われるだろうと。だから出すべきでないという意見も中にはあった。だけど、政府として決めたんだから、我々関係者は少なくとも弁解がましいことはいえない。

◆インタビュアー:宮沢首相の政治判断か。

◆石原氏:それはそうですよ。それは内閣だから。官房長官談話だけど、これは総理の意を受けて発表したわけだから、宮沢内閣の責任ですよ、もちろん。

◆インタビュアー:国家賠償請求につながるとは思わなかったのか。

◆石原氏:全く想定していない。それはもちろん、あの談話をまとめるにあたっては外務、財務、法務省すべて関係者は承知している。われわれはあの談話によって、国家賠償の問題が出てくるとは全く想定していなかった。当然、当時の韓国側も、あの談話をもとに政府として要求するということはまったくありえなかった。(中略)慰安婦問題はすべて強制だとか、日本政府として強制したことを認めたとか、誇大に宣伝して使われるのはまことに苦々しくて仕方ない。もちろん、こういうものをいったん出すと悪用される危険はある。外交関係とはそういうものだから。だけど、あまりにもひどいと思う。(中略)それが(韓国は)今日まで、いろんな国際会議で日本政府が政府の意図で韓国女性を強制的に慰安婦にしたと言っているが、全く心外そのものだ。(後略)
 ちょっと前置きが長くなったが、この稿の本題は海外のハテナについてではない。日本外交の機能不全と、日本の政治家の情けなさについてだ。

 “従軍慰安婦”問題のこちら側の最大の戦犯は「河野談話」を発表した当時の首相、宮沢 喜一。
 「河野談話」というのは宮沢内閣が総辞職する前日の 1993/ 8/ 4、河野洋平 内閣官房長官が慰安婦関係調査結果の発表の際に出した談話。これは要約すると、

 「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。〜慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」

 と日本政府としてこれを認めるという、日本の名誉とその後の日本外交にとって致命的なものだ。政治家というよりもサロンの評論家のようだった宮沢は退陣に際してカッコよく政権の足跡を残すつもりで、ナイーブな河野 洋平と共に大きな愚行をやってしまった。
 実は、先のマイク=ホンダが日本に性奴隷への強制があったと主張する根拠も本人の言いによればこの「河野談話」に依っているのだ。日本政府自身が認めているじゃないか、と。

 ご承知のように、この談話の内容は政治判断なる創作だ。当時 官房副長官だった石原 信雄は「河野談話」は韓国の元慰安婦の名誉のため「強制連行だったと日本が認めないことには世論が収まらない」という韓国政府の強い要請を受けたものであったことを当時から繰り返し語っている(→)。
 要は、プレッシャーに過敏で、善隣友好と外交の区別も怪しかった宮沢は、刑事のしつこさにしんどくなり、やってもいない犯行内容をカッコよく認めた。日本きっての外交通を自認しながらセンス ゼロのこのポンタのおかげで、日本は関係各国に対して非常に便利にエンドレスに使える外交カードをばらまいてしまった。日本を卑しめて止まない勢力に「セックス スレイブ(= 性奴隷)の国」のお墨付きを与えた。

 以後、韓国からは大統領が替わる度「未来志向」などと言うそばから一方的な昔話で責め立てられ、国民ウケしか頭にないオポチュニストの盧 武鉉(ノ=ムヒョン)大統領は日韓基本条約をキレイに無視して「日本は賠償すべきは賠償しなければならない」とまで言い出す始末。
 現在の安倍 首相は国会内で「河野談話」を見直す運動を進めてきた一人だが、今回の件について日本政府としての立場を三文記者に問われれば「河野談話」を継承すると言うしかないハメに陥っている。バカ正直に答えるのもどうかと思うが。

 政・治・判・断。頭を下げ続けても、ちっとも外交問題が解決されないではないか。外交課題で常に頭を抑えられて、どれだけ国家利益を損じたか。

 靖国カードも同じだ。中国の言い分を呑み、その状態を維持し、もし変えたら、あるいは別の外交問題で主張をすれば、この問題を持ち出されるというスパイラルにはまっている。U.S.A.に半ば幻の“核の傘”の対価を底なしに求められているのと同じ構造。
 それで、尖閣諸島。1971 年に石油の埋蔵が確認されると、中国は厚顔に島嶼の領有権を主張し、日本政府の弱腰を見透かして石油は最近 生産段階に入った。
 靖国カードの効力が直に弱まっても、中国はマイク=ホンダを後押しする反日団体のような組織と結んでは新たな外交カード作りに励むだろうし、日本政府が反応する限り色んなカードを使って来るだろう。今 来日している温 家宝 首相が穏和な紳士ぶりを振りまいても、かの国の冷徹な政治のリアリズムを見誤るなかれ。

 戦後62年、韓国から、中国から、U.S.A.から、こんなお遊びを繰り返されては日本は外交課題の前進が立ちゆかない。歴史問題のカードに決着をつけるなら、日本政府はタブーを破って、姑息な「河野談話」は誤りだったと否定するなり、修正するなりし、必要な理論武装をして韓国・中国のアピールと同じだけ世界各地でその理解を求める必要があるし、是は是として貫く腹を決めることだ。
 日本の政治家諸氏、ちょっと強気に出て、外国の政府や企業に雇われているロビイストや評論家連中にメディアで「刺激を与えることになりますねぇ・・・影響が心配されますねぇ・・・」なんて軽い脅しをかけられたものなら、態度を引っ込める。そんなビビリは政治家をやってはいけない。

 万事 不利な立場に追い込まれて、それが常態化して、掣肘を受けようがその状況を覆す土性骨に欠けること、それが今の日本の現場の問題の核心だ。
 周辺国を見なはれ。常に相手国の弱みを握り、難癖をつけて、肝心の懸案において立場を有利にしている。好みや美意識とは別の行動様式が要るのだ。

 すると、北朝鮮の愚行などを今の周辺状況の変化から日本のナショナリズムの高まりを危惧するような声がある。だが、日本外交の回復に不可欠な政府を後押しする要素は何かと考えたら、健全なナショナリズム以外に何があるだろう? これなしで日本政府に何か期待できるだろうか? ない。もちろん、肝心の日本外交そのものの腹と手腕が情けないでは話にならない。
 「ナショナリズム」「軍国主義」などを口にして、何げに日本の動きを牽制する評論家がいたら、からかってよい。「ロビーくん、乙」と。




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