i Vamos vamos Argentina !

アルゼンチンが超土壇場で北京五輪へ
2007/ 2/11-12
 前回のアテネ五輪 2004 でFIFA[国際F.B.連盟]史上初の無失点優勝を果たしたアルゼンチン代表(フットボールはFIFAが主催)。それが来年の北京五輪の出場権がかかる SUB-20 南米選手権 2007 パラグアイ大会で途中 貧打に陥って出場が怪しくなってしまった。

大会公式
 
 この2年に一度 開かれる南米選手権(2007/ 1/ 7〜 1/28)は10ヵ国のU−20代表が参加して、いつものように上位4ヵ国がこの夏カナダで開かれるU−20W杯(← ワールドユース選手権大会)への出場権を得る。
 加えて、今回はU−23代表となる北京五輪の出場国もこの大会で決めてしまおうということで、準優勝以上の2ヵ国にその権利が与えられることになり、大会がスタートした。

 それで、1次リーグは5ヵ国づつの2つのグループに分かれ、それぞれ総当たりの4試合を行って、各グループの上位3ヵ国が最後の決勝リーグに駒を進めた。決勝リーグに進んだのは、グループA:ブラジル・パラグアイ・チリ、グループB:コロンビア、ウルグアイ、アルゼンチン。エクアドル・ベルー・ボリヴィア・ヴェネズエラが姿を消した。
 アルゼンチンは序盤でもたついて、1次リーグは1勝2分1敗。1敗の相手はなぜかどの年代でもアルゼンチンと競って来る“Carioca”コロンビアで、2−1の結果。アルゼンチンは参加国で最多の11ゴールを叩き出したが、失点が目立ち、最低の勝ち点で何とか決勝リーグに滑り込んだ。

 この世代の世界王者アルゼンチンがなぜこんなに震わないことになったかと言えば、近年 中堅国の実力が上がってきたこともあるが、アルゼンチンはこの年代に入るリオネル=メッシ[FW/Barcelona]・セルヒオ=アグエロ[FW/Atletico de Madrid]・フェルナンド=ガゴ[MF/Real Madrid]・オスカル=ウスターリ[GK/Independiente]といった世界的にも飛び抜けた選手らがすでに2年前の大会に出場して、ワールドユース 2005 オランダ大会では優勝しているので、後進に道を譲ったのだ。
 それから、AFA[アルゼンチンF.B.協会]がヨーロッパのビッグ クラブが獲得を狙う得点源マウロ=サラテ[FW/Velez Sarsfield]などの選手を参加させることに失敗したことがある。



第 3 節



ウルグアイ
2
0
1
6
6
4
+2
チ リ
1
2
0
5
7
2
+5
ブラジル
1
2
0
5
7
5
+2
アルゼンチン
1
2
0
5
3
2
+1
パラグアイ
1
0
2
3
4
6
-2
コロンビア
0
0
3
0
2
10
-8
 
 さあ、決勝リーグ。
 アルゼンチンは第1節いきなりブラジルと対峙して途中 逆転を見せながら2−2。昨年暮れのクラブW杯で優勝したインテルナシオナル[BRA]の元気坊主アレシャンドレ=パト[FW]を抑え込んだ。
 第2節の相手はアテネ五輪で決勝を戦った世界の常連で、ホスト国のパラグアイ。これに1−0で勝利した。


【第3節】
 だが、この節、これを勝てばU−20W杯のカナダ行き確定というチリ戦を35度の猛暑にへたってスコアレス ドロー。ここから自慢の攻撃力にブレーキがかかってくるのである。アルゼンチン、ブラジルに抜かれて3位から4位へ(↑)。

 アルゼンチン、非常にまずくなった。
 残り2試合。カナダ行きの可能性も消えているだろう5・6位と当たるブラジルは連勝して抜け出す可能性が高い。そこで、アルゼンチンとしては得点王になったエディソン=カヴァーニ[FW/Danubio]を擁して手堅く進んでいる首位ウルグアイ、それから、1次リーグでアルゼンチンに唯一の黒星をつけたコロンビアを爆発的なゴール ラッシュで0−5として再起不能に追い込んだ2位チリ、この2国を順位で飛び越えねばならなくなったのだ。つまり、残りのコロンビア戦・ウルグアイ戦をしっかり収めた上で、上位国との厳しい得失点差を解消するという細い綱を渡り切ることが北京行きの条件となったのである・・・。

 筮を取った。茨の道となったドイツW杯でも、前回のワールドユースでも決してやらなかったが。

この大ピンチ、アルゼンチン代表の北京行きはなるか?
 

36 地火明夷
■彖 辞
 明夷は艱貞に利あり
■三爻の辞
 明夷 南に干(ユ)きて狩し、その大首を得(ウ)。疾(ト)く貞(タダ)すべからず
■象傳の三爻の辞
 南にこれを狩る、志し乃ち大いに得る也
 

 三爻すなわち下から3番目の4位にあるアルゼンチン vs. 外卦で相対する現在の首位ウルグアイの絵、という最終節の展開がキレイに示された。その大首を得るのだと。解決の困難な状況にあるが、急がずに状態をならした上で最後に一気に進撃を図れば、転じて 24【地雷復】|(← 左を上に。以下 同じ)の新しい展開(北京五輪)が開ける、という占示だ。
 互卦は 40【雷水解】||、今の問題の解決を示している。象傳にも「南にこれを狩る、志し乃ち大いに得るなり」とある。最後の試合会場の首都アスンシオンはこの時点で代表チームがいるルケの南に位置するのだろう。
 よく問いに応じており、これによれば、カナダ行きは勿論、北京行きは確かだ。


第 4 節



ブラジル
2
2
0
8
8
5
+3
ウルグアイ
2
1
1
7
7
5
+2
チ リ
1
3
0
6
8
3
+5
アルゼンチン
1
3
0
6
3
2
+1
パラグアイ
1
0
3
3
4
7
-3
コロンビア
0
1
3
1
2
10
-8
 
【第4節】
 ところが、アルゼンチンは最下位のコロンビア相手にまたもスコアレス ドロー。3連敗で来たコロンビアは4位入りの僅かな可能性に賭けて必死だった。
 その上アルゼンチンは、DF×3が累積警告で次が出場停止となった上に、司令塔のエヴェル=バネガ[MF]が負傷し、天王山の最後のウルグアイ戦にレギュラー×4が出られないという緊急事態。やっとこさ締まってきた守備陣と攻撃の柱がゴソッと抜けるのだ・・・ありえない。あまりに悪夢だ。
 幸いなことに、今節は双方 上位にあるウルグアイ vs. チリの試合が1−1のドローに終わったので、どちらかがブラジルと共に抜け出すことにはならなずに、アルゼンチンはクビが繋がった。まあ占示のとおりなら当然だ。

 しかし、本当に北京へ行けるのか・・・。最終節で瀕死の身ながらウルグアイに勝っても、決勝リーグ負けなしのダーク ホースの3位チリがカナダ行きの可能性も消えたも同然の5位パラグアイに負けないことにはアルゼンチンの北京行きは消滅するのだ・・・なるのか・・・。アルゼンチン サイドでは最終節ウルグアイ戦の前に行われるその第一試合の行方が大きな焦点となった。

 考えた。先の筮の占示からすれば、パラグアイはチリに勝つ。ここでアルゼンチンの北京行きが消えることはない・・・。パラグアイの状況はと言えば、アテネ五輪では決勝に昇り詰め、ホスト国のアドバンテージもあるのに、ここまで最下位のコロンビアから勝ち星を挙げただけという不甲斐なさに、自国のメディアにかなり叩かれていた。
 しかし、爻の言うところは「成る」でも、大元の卦は「傷つき、やぶる」の天運のない【地火明夷】なのだ。アルゼンチンはウルグアイに勝っても北京には行けないのではないか・・・そんな迷いが拭えない。


最 終 節



ブラジル
3
2
0
11
10
5
+5
アルゼンチン
2
3
0
9
4
2
+2
ウルグアイ
2
1
2
7
7
6
+1
チ リ
1
3
1
6
10
6
+4
パラグアイ
2
0
3
6
7
9
-2
コロンビア
0
1
4
1
2
12
-10
 
【最終節】
 さーて、注目の第1試合のチリ vs.パラグアイ戦はどうだったか・・・ パラグアイが勝っ・た・のだ!
 自力に優るチリが先制したが、後半パラグアイが加点して逆転し、チリが追いついて2−2としたものの、またパラグアイが突き放すという壮絶なサバイバル戦。
 こちらはチリ・パラグアイ・アルゼンチンのメディアのサイトを当たりまくり、アルゼンチンの日刊紙「Clarin」にこの試合の得点経過だけのデータ中継を見つけてパソコンに貼り付いていた。
 易示の行方の通り、パラグアイが勝ってしまった! ヨシ、あとはアルゼンチンがウルグアイに勝つならば2位以内に入って北京行きだ。同時に、4点差以上で負けなけばカナダ行きも確定する。

 そして、第2試合、アルゼンチンのウルグアイ戦が遂に始まった。
 それがどこまでもノー ゴール状態が続く。攻撃の柱の抜けたアルゼンチンは前2試合のスコアレスに続いて、いつまで経ってもゴール ネットが揺らせない。守備陣は大きく替わっても飛び抜けて固くなって、この大会 最も危険なFWのE=カヴァーニを抑えている。こちらが管理するフット ボールのサイトのBBSにも途中「最後に大首を得る筈なんだが・・・」とつぶやきを書いているが、しかし、時間は刻一刻と過ぎてゆく。遂に90分が過ぎてしまった。
 「ダメか・・・爻より暗雲の卦の意が示されていたということなのか・・・」 「Clarin」のWEBページの片隅の[0−0]を見ながらもう試合は終わったろうと思った時、数字が[0−1]に変わった! なに? どっちだ? ア・ル・ゼ・ン・チ・ン・だ! 躍り上がった! エースのイスマエル=ソーサ[FW/Independiente]に替わって後半途中に入った控えのラウタロ=アコスタ[FW/CA Lanus]が試合が終わろうとする刹那、値千金・万金の goooooooooo! を決めていたのだ。やった!

 長らくアルゼンチンを応援してきて、こんな綱渡りの劇的な大会は初めてだ。第二監督として加わったドイツW杯でも決して表情を崩さなかった cool なあのウーゴ=トカッリ監督が思わず両手を開いてピッチに飛び出した写真がメディアのサイトを飾った。

 「ウルグアイの大首を得る。そして、北京五輪という次の扉が開かれる」 この超土壇場でもやはり易はウソを言わなかった。また一つ易に確信を深めたものだった。

 実は、この第1試合の3位チリ vs.5位パラグアイ戦についても事前に問うていた。

パラグアイはチリに勝つか?
 

58 兌爲澤
■彖 辞
 兌は、亨る。貞(タダ)しきに利あり
■五爻の辞
 剥(ハク)に孚(マコト)あれば、危きことあり
■象傳の五爻の辞
 剥(ハク)に孚(マコト)あるは位 正(マサ)に当たれば也
 

 始めは読み切れなかったのだが、爻辭は、ホスト国として最後の意地の孚があったパラグアイが頑敵のチリを剥ぎ落としたということだ。得点ランキングで2位・3位となった選手らを擁して決勝リーグの台風の目になったチリは、この試合を取っていればアルゼンチンに代わって北京行きのチケットを手にしていたのだ。
 裏卦は 52【艮爲山】||。留まるの【艮】×2で、両国とも権利関係に動きなく現状に留まる、ということになるだろう。



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